うつらうつら

□2年会スピンオフ
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跡部視点


『あ、跡部先輩!おはようございまぁす!!』


その女は昨日の朝俺様に土下座してきた女だった


昨日の今日で誰よりも早く来てジャージに着替えボールを磨きながら笑顔で挨拶してきやがった


後ろ姿を見た瞬間まさかとは思ったがニコニコと元気よく挨拶する姿を見てなんだか毒気が抜かれた気分になった


『あー樺地君もおはよー!今日も良い天気だね!』



「うす、おはようございます」



後ろにいる樺地に話をかけている姿もなんだかほのぼのするような奴だった



「篠原、ボール磨きは専用の機械があるそれを使え」


『え!?あれ使っても良いんですか!?』


「ダメなら言わねぇ、樺地使い方教えてやれ」


「ウス」



『有難うございます!ごめんね樺地君、昨日もたくさん教えてくれたのに…』


「大丈夫です、直ぐ着替えるので」


『ありがと!機械の所に居るね!』


「ウス」




「なかなかじゃねぇーの?」


「ウス、篠原さんはマネージャーに適任だと思います」





昨日聞いた話によれば親友が他校のマネージャーで大会で会えるから!となんとも不純な動機だったが放課後の部活の時からやたら動きテニスにも理解がある
誰にでも笑顔でメンバー狙いと言うフラグもしっかり折っていたし(これは忍足が言っていた)

まるでどこかでテニスをしていたかのように選手に寄り添ったマネジメントが出来ていた



さっさと着替えて篠原の元に行こうとした樺地にテニス経験があるか聞いてこいと言い、自分でも少し調べてみた


タブレットから彼女の名前を検索すれば一発ででた


【謎の天才少女達露る!?小学生女子ダブルス篠原名無しさんと八代吉見、初大会で優勝!】


【またこの天才二人がやった!日本アマチュア女子テニス小学生部門ダブルス優勝!このまま行けば最年少プロ入か!?】


【六年生で引退宣言!?通う学校が違うからもうテニスしません?天才女子達ダブルス解散!!】

その他にも小さな見出しから大きな見出しまで沢山でた。テニス関係ない地域新聞にも乗っていた位は有名だったらしい

もし親友とやらがこの八代吉見だったとしたら合点がいく、動画から流れてくる映像は明らかに彼女でとても上手いし連携がとれていてやめてしまうには勿体ないほどの腕前だ



「おはようさん。誰の試合見とるん?」


「忍足か…お前これ知ってたか?」



「…篠原さん、やね?あーなんか一時期ニュースになっとったなぁ、女子の方は興味なかったんやけどおかんが残念がってたわ」



「…そうか」



「だからスコアも書けるんやね、女テニにバレたらうるさそうやな」


「その方があいつのためになるんじゃねぇの?」



「んー…俺はダブルスもシングルもやるきあんまり強く言えんけど気の置けるパートナーやないとテニス楽しないんやない?あ、ほらここにインタビュー書いてんで何で続けないの?他の学校で部活とか入ったりこのままテニスクラブでやっていかないの?って」







"え?だってよーちゃんが居るからテニスしただけで居ないならやりたいとも思わないんで!あ、ほら牛丼って牛と玉ねぎじゃないですか!そこにタレとか紅しょうがとかあるから美味しいでしょ?お寿司だってお刺身と酢飯でお寿司、そこにワサビとか醤油とか!私一人だと只の玉ねぎであり酢飯なんですよ。それが好きな人もいるかもしれないですけど私は牛丼が食べたいし、お寿司食べたいですよ!一緒だから楽しいのであって一緒じゃなかったらやる意味ないんで!"



"まぁ、名無しさんが言った通り私も牛丼食べたいんでやめます。応援してくださった皆様本当に有難う御座いました。ほら名無しさんも"



"有難う御座いました!"







「忍足」


「なんや」



「ぎゅうどん…ってなんだ」



「…篠原さんに聞いてみたらええんやない?
(俺には説明しがたいです!荷が重い!!そうだ心を閉ざそう!)」



後で樺地に名無しさんのことを聞いたら

「かじった事ある程度、だそうです」


んなわけあるか!




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