笑えや笑え

□え
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成る程、と思った



と、同時になんてこったと思った



今の話をまとめると天女(自分)がもとの世界に戻りたいと願っても帰れない、すなわちこの学園の誰かが私に"もとの世界に帰って欲しくないと願っている"と言うことになる。



しかし学園側にとっては生徒がそんな事を願うはずがないと思い続け、私が帰りたくないと思っていた


それでこれほどまでに嫌われたり試されたり警戒されてきたのか…成る程ね




そして天女を天に返す方法は全生徒は知らず一部のごく少数しか知らされておらず、多くの人が私がまだ帰りたくないと思っていると思われていたと




「これがすべてじゃ」



『…よく、わかりました』




あぁ全て納得だよ



うん



もうね





『学園長先生』



「なんじゃ」




『食満留三郎と善法寺伊作君にお話をさせてください』



「構わんよ」




先生に深々と頭を下げてから後ろにいる二人に向かった


うんうん、やっぱりいい男だね二人とも




『留三郎君』




「あぁ」




『まず、命を助けてくださって有難うございます。
あなたが助けてくれたお陰で沢山素敵な人に会えました。私は本当に幸せです。
そして、お友達になってくれて嬉しかったよ。本当に有難うございます!』




「いや、俺はお前をここに連れてきちまった…危なかったとは言えこんなことになっちまってすまなかった。だがこれだけは言わせてほしい
最初こそ天女と思っていたが、今は友だと思ってる。大事なことをはぐらかしていたのは俺も伊作も同罪だ、今から言っても届くか解らないが事実だ」




『うん、信じるよ。有り難う留三郎君大好きです』




「名無しちゃん…」


『伊作君、貴方は私がこっちに来て初めての友達です。私が暴れたときも治療してくれるときも薬飲まなかったときも君は優しく諭してくれたね。厳しい時もあったけど嬉しかった。薬は苦いけど憎いはずの天女に毒を盛らないでくれて…ほんとうに有難うございます』




「うん、うん…僕が名無しちゃんのことを可哀想な子っていってしまったから話がややこしくなっちゃって…君の主治医なのに不安にさせることばかりでごめんね…僕、もしかしたら僕が帰って欲しくないと思ってたかもしれない…本当にごめんなさい」



『ううん、有り難うそう思ってくれたならこの上ない幸せです。伊作君大好き、大親友だよ』



さて、二人にはもうこのくらいで良いだろう



私は二人の後ろにいる六年生達に頭を下げた



『まとめちゃってごめん、仙さま、文次君、長次君、小平太君本当に有り難う。君たちと出会えたことは私の宝物になりました。大好きだよ』



お、仙さまと目があった。ニヤッて笑ったら美しい微笑みで返してくれた


幸せ




ほんと幸せだ



さぁもう、終わりにしようかな



『学園長先生並びに忍術学園の教師の方々、そして生徒の皆様、本当にほんとーっにお世話になりました。私、四人目の天女名無しの名無しは本日を持ちまして天女を辞めこの学園を出ていきたいと思います』





『短い間でしたが沢山の事を学ばせて頂いたとても濃い三ヶ月でございました』



『私が帰りたくないと思っていると思われていたことはもしかしたら事実かもしれません。だって大好きになってしまったから』




『皆が話してくれて、信じてくれて、本当に嬉しかったです。もう、十分です。ねぇ、学園長先生?私は天女出来てましたか?』




「君は、最初から最後までこの学園の天女を勤めてくれた…感謝してもしきれぬよ」





『へへへ』




「とどまる、という選択肢は君には酷じゃな」


『ふはっ、先生!いくらバカな私でもそりゃ無理っす!』



「…では君がバイトに出た団子やはどうじゃろう、あそこのご主人も女将も大層君を可愛がっていたからの」



『お断りさせてください。学園との中途半端な関わりは一切切らねばなりません』




「ふむ…」



『こう、思っては貰えませんか?




私は学園から卒業すると





学園は天女から卒業すると





そう思えばお互い良い関係で終われるじゃないですか』




「卒業…か、綺麗な言葉じゃのう名無し殿」




『はい!』



「では、これより名無しの名無しの卒業式を執り行う!!」









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