笑えや笑え
□ら
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グルルルルル
大きな犬さんが唸ってる音で女が覚めた
「おや、無事なようだね」
『ざっ、とさん?』
「うん、雑渡さんだよ。この狼は君の?それとも天女の力?」
『あ、オオカミだったんだ?犬かと思ってました。犬さん、この人怪しいけど私の友人なんですよ。ありがとうございます。
こちらの犬さんは私の恩人…恩犬さんです。天女の力ではなくこの方の優しさです』
犬かと思ってたオオカミは唸るのをやめて此方に来て座ってる私の足元に来た
あぁ、なんか暖かいなと思ったらこの子が暖めてくれてたのか…いい子だ
「…まぁいいや、こんなところで何してるの?」
『雑渡さんたらまたですか?忍者は何でも知ってるって知ってるんですよ私』
「なにも知らないよ、何故太陽が動いてないのかも月が何故満ち欠けるのかもね」
『んなもん知らなくても生きていけます』
「…質問を変えるね、君は誰にやられたの?」
誰に
『暗かったからわかりません』
おいって話しかけられて振り向いたら殴られてた。
雨だから月明かりと無く真っ暗だったしろうそくも無かったしトイレから帰ってたところだったから部屋の前だったから
「本当に?」
『はい』
何の臭いもしなかったし
大体私が忍者の気配をわかるはずがない
だからわからない
そんな私に雑渡さんはため息をはいて
「君は死にたいの?」
と、
死にたい?
死にたくはないかな?
でも、生きるのは疲れてしまった
だから
『わかりません』
わからない、どうしたらいいのか
自分がどうしたいのかも
どうしたらうまくいくのかも
考えるのは疲れてしまった
だからここで死んでもいい
死なないならまた考えなくちゃいけない
考えるのはとても疲れる
「ふーん」
『天女って、疲れますね』
「そこまでして天女してたいの?」
『そう思ってた方が心持ち楽だと思ったんっげほっげほげほ…』
「ほら、飲みなの」
『…伏木蔵君から雑渡さんの竹筒はお粥が入ってると聞きました』
「…伏木蔵君の話は本当だけどこれは水、今君に死んでもらっちゃ困るから」
『困る?何でですか?』
「だってまだ月の話を聞いてないもん。知らなくても生きていけるが知りたいし知っているものが居るのに逃すのもね?」
『oh…』
雑渡さんはすごい人なんだね
よくわかった
取り敢えず生きる理由をくれてるんだと思う。
でもなんでだろう天女を恨んでたんじゃないのかな
それほど私が可哀想な女に見えてるんだろうか
「それにはまずそのオオカミをどけて縄を切るから」
『犬さん、ありがとうちょっと退いてね』
フガッ
この子は学園の子なのかしらね。頭が良いし
「野生のオオカミだね」
『え、そうなの?』
「でも人の言葉を理解してるし元々どこかで飼われてたのかもね」
『そっか、君のお陰で助かったよ。ありがとう犬さん』
「いや、オオカミだってば」
『お名前みたいなものですよ。あ、じゃぁケンさんで』
「メスだけど」
『おいぬちゃん』
「…で?連れていくの?」
『?どっか行くんですか?』
「…もうおバカすぎて名無しちゃん好きになっちゃうよ」
『え!?私は雑渡さんすきですよ!両思いですね 』
よくわからないけど頭を撫でられて幸せでした。
。