笑えや笑え

□や
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『気絶するって夢も見ないのかよ』




その声は洞窟に反響して自分に帰ってくる


手足を縛られてるから身動きが取れない


うっすら明かりがあるけどそれが不気味で目がなれてきたとはいえほとんど奥が見えない


わかるのは地面や壁が土で湿っていること

湿ってるのは雨降ってるから

雨のおとは聞こえるから外だと思う。


体はほとんど濡れてないけど地面の湿気を服が全部吸っててじめっとする。


湿度何%だよ。やべー蒸される




『んっしょっと…いてて』



取り敢えず体を起こしてみたけどやっぱり見えない


洞穴的な感じかね?


空き地の土管の中を思い出すわ

思い出すのが押し入れじゃないから喜八郎君の穴ではないはず


居心地悪い



殴られた頭が痛い



あと縛られてるから縄が皮膚に食い込んで痛い



山賊に付けられた背中の傷がヒリヒリする




あ、何か動いた…犬?




『こんばんわ』




やたらでかい犬だな




それはこっちをみてまたそっぽを向いてしまった



『すいません、動けないもんでここにいてもいいですか?』





おお、何かよくわかんないけどフガッって言ったから良いのかな?


わかんないことが多すぎる。



まずここはどこなのか



何でこの犬がソコにいるのか



ノラなのか飼い犬なのか


ノラなら何故食われないのか


飼い犬なら誰が飼い主なのか



そんで誰がここに連れてきたのか



ここに来てどのくらいの時間がたったのか



先生たちは知っているのだろうか



小松田先輩の仕事は進んでいるだろうか



おばちゃんに仕事サボって嫌われないだろうか



乙女や、伊作君は怒ってるだろうか


皆は消えて良かったと思ってくれてるだろうか





お礼や謝罪が出来なかったことが悔やまれるけど…厄介者の私がが居なくなった事であの学園の皆が平穏に笑って過ごせてるならそれでいい。




犬さんはあくびをして目をつぶってしまった。
そうか、貧弱ガリガリの私は不味そうだから食わねぇと
興味がないと言われてる気がして気が楽になった



ここで死ぬのもまた人生。今なら誰も恨まず感謝しながら死ねる



裕介、私はよく持ったと思うのだ。
何もかも任せてすまねぇ



『あとは、頼むぞ、裕介』




お腹すいたし喉も乾いた


何より生きる気力がなくなった



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