笑えや笑え

□ら
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ーなぁ名無し


ー…

ー俺さ、お前の笑った顔が好きだ


ー…


ーきっとさ、もう笑ってもいいんだよ



ー…


ー皆心配してる


ー…



ー無理に泣けとか言わねぇけどせめて笑えよ



ー…裕介、


ー笑え



ー…裕介、なんで泣くの



ーお前が泣けない分俺が泣いてやる。だからお前は笑え


ーでも…


ー"笑う門には福来る"って言うだろ?お前は笑って福を呼べ、笑って笑って笑って…泣きたくなったら泣けばいい。ソレまでは笑ってろ。


ーもし、泣きたくなったら…裕介を呼んだら側に居てくれる?



ーったりめーだろ、俺達親友!心の友!





呼んだって、彼は来ない





来ないんだ





だったら私は




どこで泣けばいい?



ーーーーーーーーーーーーーー





「と、言うわけでバイト手伝ってくださーい」



『マジか!キリ丸君バイトしてんの!?大人じゃーん!』



「俺、親居ないから学費自分で払ってんすよねーだから手伝ってくださーい」



『学費まで自分で!?超大人!!!兄さんとよばせてください!!』



「下さいはダメ」



『兄さんと呼んであげる!』


「貰う!!」




金曜日、平常運転です。

と言っても仕事(小松田先輩の尻拭いとおばちゃんのお手伝い)も終わり別にすることも無いから勉強してたら乱太郎くんしんべヱくんキリ丸が入ってきて明日バイトに行くから一緒にどうかって誘ってくれて



話を聞けばキリ丸君は戦孤児らしく授業料を払うためにほぼ毎日バイトをしているらしい



凄いな彼は…私なんか全然仕事できないし迷惑しか掛けてないのに…


少しでも、役にたちたいな


『キリ丸兄さん、お供させてくだせぇ!!

あ、でも外出許可貰ってない…』


「名無しさんの事は学園長先生に許可取ってあります。明日は団子屋の売り子のバイトなんで着替えて化粧して来てくださーい」


『おお、流石兄さん!
じゃぁ伊作くんに聞いてみるね!』




「朝は支度できたら呼びにきまーす」



『はーい』



乱太郎君から伊作君は医務室に居ると聞いて向かって事情を話したら



「んー僕の女装用の小袖じゃ少し大きいだろうから…四年の田村三木衛門に貸してもらうといいよ」



との事、


『田村さん?会ったことないや』



「一番体格が近いんじゃないかな?」



ってことで伊作君に聞いた田村さんの居るところに来ました。


ええもうすでにどっかんどっかん聞こえてます。怖いです。


「おや名無しさんじゃないですか、一体こんなところで何を?」




『滝夜叉丸君!!君はヒーローか!?実はかくかくしかじかなんだ!』



突然現れた滝夜叉丸君に事情を話すとここに一人で来るのは危険で一緒に田村君の所に言ってくれるとの事…マジで神かあんた

流石天才で秀才の滝夜叉丸君!と言えばばホイホイと連れていってくれた。



そしてようやく出会えた田村君はどっかんどっかんと言う音に似合わないキュートな顔立ちをした少年でした



「名無しの…さんでしたっけ?」



『はい!お願い出来ませんでしょうか!』



滝夜叉丸君が突然彼に突っ掛かって喧嘩を初めた時はどうしようかと思ったけどとりあえず説明をして冷静になった彼は創造以上にかわいらしい声で私に問いかけてきた。



もうやっぱ私は女を本気で辞めようと思う



「…小袖を貸すのは構いませんが滝夜叉丸のファンってのが気に入らないです」



そして中身も可愛い



「何を言う三木衛門!この秀才滝夜叉丸のファンであることになんの不満があると言うのだ!」


「不満でしかない!そもそも僕は学園のアイドルだ!お前なんて目じゃない!」



「なんだと!?」


『え、田村君アイドルなの?!マジで応援します!サイン下さい!』


「!?」



『あと、滝夜叉丸君も!名無しへって入れて貰っていいですか!?さーせんミーハーで!ひょー!アイドルに会うとか初めてだ!!握手して下さい!イベントとかやります?あ!もしかして滝三木でユニットとか組んでます?きゃー!萌える!これは萌えるよー!!喜八郎君もですか!?四年生でアイドル?』


はい、引かれました



ドン引きです



「イベント…そうか!イベント!その手が有ったか!!流石ですね名無しのさん!アイドルたるものイベントをしなければファンが悲しみますものね!そうと決まれば衣装なんかも準備したい!」



あ、引かれてなかった



『おお!?ならばまずは握手会なんてどうですか!?握手会!それなら私服とかでイケますよ!』



「 握 手 会!!」



「ふっ、この滝夜叉丸も握手会すればシャイなファンがどっさり押し寄せるだろう」



「っは!お前にファンなどないわ!」


「お前こそ!!」



『私がファンですよーお二人のー♪握手してくださーい』



「「!」」サッ


『アイドル活動頑張ってくださーい応援してますー!』




二人は同時に右手と左手を出してきたので両手で握手すると何故かぽっと顔を赤くしてた

なんかわかんないけど親衛隊になろうかなと思いました。


「っは!小袖だったな、何種類か有るから見に来ますか?」


『まじっすか!あざーす!』


「ついでに私の帯も見せて差し上げます!」



『おお!?なんだかすごいことになってきた!』



こうして私は禁断のアイドルの部屋へと行くことになりましたとさ。




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