笑えや笑え

□ら
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四年生達に別れを告げ自分の部屋に戻ってくるとなぜか鉢屋君と留三郎君がいてお茶を飲んでました。

え、なんで?



「あ、こんばんは」



『こ、こんばんは…』



いいスマイルに圧倒された、鉢屋君イケメン!!


「勝手にお茶してるぜ」



『あーうん構わんよ』



あれ?なんかへん…乙女…だよね?




「名無し、紹介する。不破雷蔵だ」



『え!?鉢屋君じゃないの!?』



「やっぱりな…騙されてると思って一応連れてきた」



「5年ろ組、図書委員の不破雷蔵です。宜しくお願いします名無しのさん」


『はぁ…鉢屋君とはちょっと複雑な感じですか?』




名字違うし…やべぇやつかも?





「三郎は変装名人で普段は僕の顔で生活してるんですよ。だから同じ顔なんです」




あ、なんだ生き別れの双子とかではないのね…あせったぁー


『そっかそっかぁ、勘ちゃんに謝らないと勘違いしちゃっててさぁ』




「勘右衛門も名無しを騙してたんだ謝ることはないだろう」



『ん?』



「ん?ってなんだよまさか騙されてることに気づいてない訳じゃないだろうな?」



『いや、そこじゃない。私も勘ちゃんなら同じ事を言ってたと思うから。



ねぇ、あなたほんとうに乙女?』



さっきっから違和感半端ない


乙女ならもっと近い筈だ、距離も心も



寄せてくれてるんだろうけど何て言うか彼は遠いし浅い



「ほぅ」





『わかったぞ!君は鉢屋三郎君だな?!変装見破ったり!』




「ほぅ、何故わかった」



『フィーリングだよフィーリング!心が違う
乙女と私の仲を甘く見ちゃいかんよ、何せ彼は私のなかじゃ古株だ。』



「あんたが食満先輩の何を知ってる?こっちとら四年間と少しも一緒に居るんだあんたよりは知ってる」



『そりゃそうさ!私なんぞ1ヶ月ちょいだししかもその半分は寝てて乙女と居てないんだ。君より私のほうが知っていたら驚きだね』



「なら何故わかったんだ?」



『君は食満留三郎さんと言う人間はよく知ってるだろうが乙女と言う留三郎さんは知らないだろう?
んま、つまりそーゆーことだ。私が食満留三郎として彼を知っているのではなく私が乙女と言う食満留三郎を作った。だから私にしか分からない彼が私のなかにある。

そして私は彼の後輩ではない。ましてや友達かも解らん。だが私は乙女が大好きだ、イケメンでいいやつだし。それにあの人には返しきれない恩がある。返せと言われてる。ならば答えは一つ!君がいくら留三郎さんになろうとも私は必ずわかる!ついでに言えば勘ちゃんならわからなかったかもしれないし土井先生でもわからなかったかもしれない。


私の愛は天女をも凌駕すると言っても過言ではない。私は留三郎さんをー』



「ああああああああああああああ////////やめろやめろ!!!なに言ってんだお前はぁ!?馬鹿か!?バカなのか!?恥ずかしいことをベラベラと//////」




『あら乙女、これからが良いところなのに…』




「あんた役者かなんかか?」



『まさか!演技だとでも言うのかね?私は留三郎さんを愛』「だからやめろてっの////////」




「裕介はどうした?浮気じゃないか」



『裕介は別枠だよ。あいつは私の核心だ。彼が居たから私は笑ってる。しかも返す恩もない。恩ではないからね。なぜなら核心だから。
だが留三郎さんは違う』




「どう違うのか私には理解できないな、同じ恩人のように思うが?」




『うーん…私は裕介に恋はしてないんだよな…愛してるけど』




「意味が分からない恋と愛の違いなんぞ」



『恋は下心、愛は上心っていうじゃない?』



「恋は下心…」



『ほら、話したいなぁとか手を繋ぎたいなぁとかあわよくば一発…みたいな』



「じゃぁ愛の上心ってなんなんですか?愛してても下心ってありますよね?」




『んー…私の中ではの話なんだけどいとおしいとか守りたいとか…背中を預けるとか信頼とかだと思ってる』



「なるほど」




『んま、だから私は乙女を愛して「やめろバカ」あいてっ!もー照れるなってーいたっ、痛い!ごめんって!嘘じゃないのよ!痛い!』



ったく!そんなに叩かないでよ!頭割れちゃう!




「大丈夫です、か?」



『えぇ、もうそりゃぁ痛いです』




「随分な愛だなぁ」



『ふふ、愛されてるでしょう?』



「そうだな」


「え?そうかな?」



「少なくとも今までの天女よりは愛されてるだろ?」




「鉢屋」




「はーい」



『まぁまぁ留三郎さん、前の天女よりは愛してくれて嬉しいわよ』




「…」




『あ、不破くんありがとね!わざわざ来てくれて!あとお化けと思っててごめんね!』



「いえ…」




『嫌いなら近づかないからはっきり言ってね?私バカだから言われないと解んないんだわ』



「私が嫌いだって言ったら? 」



『話しかけたりしないよ』





「絶対か?」




『うん、嘘だと思う?』



「…」



『でも私は鉢屋君好きだよ』



「なんで?」



『ちょっぴり私と似た臭いがするから』



「なんだそれ」



『悪戯心?とかさ確信を隠してるとこ、鉢屋君は外、私は中。ね?』



「まだなんか隠してんのかよ」



『隠し事があるミステリアスガールの方がモテるのよ。ちなみにちょっと頭足りない子とかもモテる』



「つまりあんたはモテるためにここに来たのか」




『ここに来たのは偶然。神社の石階段を踏み外したの、まぁ君らにしちゃそう思われても仕方ないよね?だから何てでも思ってよ!モテたいと思うのは人間の性みたいなもんじゃない?』



「そうか」




『ぶっちゃけその顔の下は気になるけどね』



「見るか?」



『え!?いいの!?』



「ほら」



『…あらま』


かぱっと外れたその顔は私だった



それもあの顔の私




「鉢屋!!」



「三郎!お前なんて事を!!」



そっくりだ。あのときのあの顔に




裕介が見せてくれた"ひでー顔の私"




懐かしい




『ふふ…ふふはっ、あはははははははは!超似てる!すげー!マジブス!あ、ついでに言うと目の下にホクロあるんだーほら!ね?』



「名無し…」



「おや、本当だ…書き足しておこう」



「いい加減にしろ」



不破くんも留三郎君もそんなに起こること無いのに…まぁ確かに不愉快な顔ではあるけど

不細工過ぎて



『まぁまぁ乙女も不破くんもそんなに怒らないで?似てんじゃん、クソブス!ッブフ』



「この顔は確かに醜女顔だな」




『だよねー私も思うわ…ひでー顔よねーうわっ気持ち悪ーい』



「なら二度とするなよ」




『んだね不愉快極まりない!頑張るわー…意識してるけどね?ちょっと考えちゃうとなっちゃうんだよねー』


「忘れろとは言わないが乗り越えろ」




『あら?鉢屋君って意外と熱い男ね、ステキー!』



あぁ、やっぱり上級生は私の過去聞いてたんだな

忍者には隠し事できないね、まぁいいけど



「お前のせいじゃないだろ」




『それは違うけど…んーなんだろうね鉢屋君に言われるとなんも知らないくせにーって思うわ』



「だろうな」



『裕介はそんなことならなかったからな』


「お前を知ってるからだろ?」



『まじかー愛されてんな』




「食満先輩も善法寺先輩も、一年も二年もあんたが天女だろうがなんだろうが気に入ってんだろ?」




『ねー、嬉しい』



「わかってるならこの顔だけはあいつらに見せるな」



『そうだね、うん、そうだ…気を付けるね、不快な気持ちになるもんね』




「不快じゃねぇ心配だ」




『乙女…急に会話に入ってくるの好きね』



「あんたが信用できるやつだと確実にわかったら教えてやるよ」



『?なにを?』



「あんたが一番知りたいことだ」




あぁ、帰る方法か


そのくらいしかないもんね





『ふふ、解りました』





きっとあなたも教えてくれない。


だって君は私と同じあまのじゃく



それでもいい、笑って過ごせるなら



泣かずにすむなら




ねぇ裕介、泣くところがないなら笑ってるね


ずっとずっと、貴方の好きな私の笑顔で





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