笑えや笑え

□る
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ーおーい!名無しー!



ー裕介、あんたまた先生に呼び出し食らったの?


ー数学追試なんだよ!教えてくれ!


ーったく、おめぇいつになったら赤点無くなるんだよ


ーあー…学生を辞めたらじゃね?


ー…


ーな、だから教えて!今回のテスト範囲だけでいいからさ!!


ー中一の問題からはじめようじゃねぇーの


ーえ




ーーーーーーーーーー




…朝?



まだ薄暗いかな …



誰も居ない…よな






ああああああああああああああああああああああ!!!!!やっちまったああああああああああ!!恥ずかしいいいいいいいい!!


お父さんとかめっちゃ呼んでた気がする
!やべぇ!はずい!!どおおおおしよおおおおおお!!絶対ヤバイやつと思われたでしょ!!!どうしよ!!せっかく伊作君が友達になってくれたのに!!もしかしたら乙女と立花君もお友達になれるかもっておもったのにいいいいいい!!




やっちまったああああああああああ!!




もうだめだ…終わった…あぁもう終わった…



名無し終了のお知らせやがな…



ちょっと…歩こう



上を向いて歩こう。滲んだ星の数数えよう。



外に出たら日の出だったらしく空が東の空が明るくなってる



いや、気分的にはあれだ、歩いて帰ろう。


『急ぐ人に操られー言いたいことはむーねーのーなか
寄り道なんかしてたらーおいてーかーれるよー直ぐにー

嘘でごまかしてぇー過ごしてーしまえばぁー頼みもしないのーに

新しい朝がくるー』



ほんと、頼んでねぇよ朝なんか…




『…喜八郎君の蛸壺行こう』




出ちゃダメだって言われたけど散歩しろって言われてるし良いよね



『この辺…だったはずなんだけど…無い、か』





「何か探してるのかのぅ?」




『うわっ!?ビックリした!学園長先生?!』



「ほっほっほ、名無しの殿は早起きじゃのぅ」



『はぁービックリした…おはようございます』




「うむ、おはよう。どうじゃね学園の生活は」




『え、どうって…た、楽しいですよ!皆優しくしてくれるし!先生も聞いたら答えてくれるし!』




行きなり現れて…ま、まさかあの下手くそな歌も聞かれてた!?



あ!私部屋からめっちゃ出てる!!!怒られる!!!やべぇ!



冷や汗だらだら…




「そうかそうか、なら良かった。」



めっちゃ笑顔だけどー!どうしたらいいの!?怒られないのー!?



こーゆーときLifeカードとかでないの!?どうする!俺!


な、なんかわかんないけど学園長が歩き出したから付いてってるけど…いいのかこれ


「そういえば名無しの殿は恩返ししたいそうじゃな」



『あ、はい』



うへ、流石忍者だわ

隠し事なんてできやしねぇ



「体の方はもう良いのかの?」



『大分よくなりました、ありがとうございます』



「では、恩返しという名目でこの学園で働いてみてはどうじゃろう」




『働く…ですか?』



働く…まだそんな経験無い


バイトだったしたこと無いのに


私に出来るんだろうか



「事務や食堂の手伝い、先生方の授業の補佐などじゃ」




『事務、は字が書けないので…食堂なら』




料理はある程度出来る、筈。


字は少しだけ勉強したから多少読めるようになったと思うけど事務処理出来るほど書くことができるかって言われると無理だ






「事務の仕事は字を書くことだけではない掃除や雑用もある。無理はさせんしお主の勉強のための時間を約束しよう」




私が役に立つ?



そんなのはわからない、わからないけど




『…それは恩返しに、なりますか?皆を、生徒を怖がらせたりしませんか?私は天女ですよ?』



「お主を怖がる?おかしいのぅ、この学園には身寄りの無い怪我をした名無しという少女が生徒に連れてこられただけのはずじゃ、天女などおらんが?」





信じていいのだろうか




こんな甘い言葉を



「嫌ならば近くの寺に手伝いが欲しいと言うところがあるそこでも構わんよ」




こんな優しい言葉を



本当に信じていいのだろうか





って、もうやめよう



疑ってばかりは苦しいしね




恩返しがしたいって思ってたじゃん私





『ここで、働かせてください』




せや、私は千尋になろう。


此処に来たのだって神隠しじゃん完全に







『ここで、働きたいんです』




信じるとか信じないとか





考えるのはやめて




精一杯生きたあの子のように





「決まりじゃな」




私もヒロインになってやろう



いや、寧ろ主人公だねこれは




『よろしくお願いいたします!』




ざっとさーん



私ここで、働ける事になりましたよー!



一回しか会ってないけど


次いつ来るかわかんないけど



大切な事を思い出させてくれる存在なんだよね





皆を沢山笑わせる事、しっかり恩返しをする事、


全部やってさよならしてから帰る事!




それが私の此処にいたい理由だ



帰れるまでそんなもんでいいよね




ね、裕介!






「朝礼あるから挨拶考えといてね!」



『やだ、学園長先生ったらお茶目さん!え、マジで!?』



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