novel
□■あまのじゃく(連載中)
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うざい。
うざいったら。
ほぼ日課となっている自主勉を止め、鈴木佑子は教科書から顔を上げた。
数人の女子が教壇の側で笑いながら喋っている。動く度に染めた髪や短いスカート、アクセサリーが揺れる。
今は休み時間。
まったく有りふれた光景といってもいい。
しかし佑子は勉強に戻らなかった。
逆に視線は鋭さを増し眉間の皺も濃くなる。
佑子からすればその情景も高い声も癇にさわった。
要はイラついていた。
「ちょっと。うるさくて勉強に集中出来ないんだけど」
凄味を効かせたこの言葉は、一瞬お喋りを止めたが対して効き目はなく、すぐに元通り再開してしまった。
それどころか今度は佑子が格好な話のネタに刷り変わっていた。
(…ま、いっか)
こういうのは放置するに限る。
いつも、そんな風に過ごしてきた。
黙り込んで、話さなければ、通りすぎていくから。
しかし、なかなか余裕でいられなくなった。