種
□僕宙 第二章
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「………………………………うんわぁ〜」
その姿を見た時、思いっきし見なかった事にしたかった。
奇しくも同時刻。
ザフトと地球軍に別れた恋人達の心中はこんな感じだった。
Act.14 太陽の青年は仔猫を抱いて…
「状況が厳しいのは分かっています。でも、投降するつもりはありません」
勇ましい言葉で艦橋のメンバーを鼓舞する新米艦長をフラガは副操舵士の席から振り返る。
彼も彼女もその任務を完了させるのがいかに難しいか、よく分かっている。
「この艦と“ストライク”は、絶対にザフトには渡せません。我々は何としても、コレを無事に大西洋連邦指令部へ持ち帰らねばならないんです」
その言葉に異論はない。
だがどうやってそれを成すのか。その具体的な案がない。
先程フラガも言ったが、このAAにはストライクとメビウスゼロしか搭載されていない。
それに比べあちらはナスカ級とローラシア級の二隻に加えMSがジンだけでも四機。さらにクルーゼのシグーと奪取されたG四機がある。
数だけでも、今のAAには十分脅威だ。
そして『G』。
他のGがどれ程の性能を持っているのか、製造に関わっていないフラガには考えも及ばない。
だが、“ストライク”は違う。
フラガはそれに触れそしてその性能を確かめた。
そしてそれは十分脅威に成りえる物だと判断した。
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