種
□僕が宙を駆ける理由 第一章
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あの新造艦も自軍のMSのパイロットが、敵軍のパイロットがMS越しに目の前でいちゃついているなど、想像もしていなかっただろう。
Act.10 今日と言う日の墓標
『しかし、まだエネルギーは大量に残っているぞ。…ミゲルはどうだ?』
「オレも半分ちょい残ってるな」
ぶちきれたミゲルのおかげで何とか真面目な雰囲気に戻る。
だが、撤退しようにも理由がない。
どちらのMSも五体満足で、エネルギーもまだまだある。
これで撤退しようものなら新造艦の連中に不信感を与えてしまう。
『……かなり気が進まないけど、ヘリオポリスを崩壊させようか?』
先程までのハイテンションが嘘のように苦々しい声だ。
『キラ…』
アスランは言外に諫めているようだが…。
『どうせこのまま放っておいてもいずれ崩壊する』
その見立てはおそらく正しい。
シャフトは深刻なダメージを受けすぎている。
応急措置もままならず崩壊するだろう。
『――それで良いのか?』
『良いも悪いもない。どうせ起こる事ならば有効に活用しないと』
ミゲルは『キラ』の言葉を正論だと判断する。
だが、果たしてただの民間人の子供にこんな割り切りが出来るか?
アスランに聞く事が沢山ありそうだ。
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