夢小説

□後
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明日の朝に。
 

 何度も訪れたことのあるアルミンの部屋。
でも、今日はとっても緊張する。
暗い廊下に光がもれている扉をそっと叩いた。
まるで扉も緊張しているかのように震える。
「どうぞ」
声と一緒に天使と見間違えるくらいの笑顔が私を迎えてくれた。
「――お邪魔します」
「そんなに、改まらなくても」
アルミンはまたくすくすと笑った。
本当に私のしたことがおかしかったみたい。
最後には声を出して笑われた。

 アルミン、今日はね――
へぇ、そうなんだ。僕はね――

 一つのベッドの中で他愛もない会話を交わす。
他人から見たら、本当にくだらないかもしれない。
でも、私にとっては本当に本当に大切で幸せな時間。
アルミンもそう思ってくれていたら嬉しいな。
アルミンの笑い声を遠くで聞きながらアルミンの腕の逞しさを感じていた。
いつの間にか、意識は離れていく。

 朝日が眩しい。
アルミンの部屋は私の部屋より朝日がよく当たるみたいだ。
目が覚めて最初に目に飛び込んできたのはアルミンの綺麗な寝顔だった。
いつもは見ない無防備なその姿に胸が高まってしまう。
白くてすべすべの肌。
長いまつ毛。
女の子みたいだってみんなは言うけれど、アルミンはとってもかっこいいんだから。
「う、ううん」
綺麗な青い瞳がゆっくりと開く。
と思っていた。
でも、実際は声出した瞬間アルミンの目はぱっちりと言っていいほどはっきりと開いた。
「あっ! 」
それと同時にアルミンの大きな声。
朝っぱらから起きたよくわかんないアルミンの言動に私の頭は働きをやめてしまったみたいだ。
「ルーナ! もう、起きてるの? 」
何を言っているんだろう。
もうって、六時はそんなに早い時刻だろうか。
「ルーナがこんなに早起きなんて知らなかった……僕としたことが……」
私もアルミンが朝からこんなにも忙しい人なんて知らなかった。
私としたことが。
「ど、どうしたの? アルミン? 」
私の頭は朝からは働かない。
まあ、いつもほとんど働かないけど。
「ルーナの寝顔見るチャンス逃しちゃった」
「へ? 」
可愛いんだろうな、アルミンは目の前に私がいることもお構いなしにそんな恥ずかしいことを言っちゃう人だっていうのも今初めて知った。
「明日の朝、リベンジさせてほしいな」

 アルミンより早く起きれば、ずっとアルミンと一緒に寝られる。
大したことない頭で出した考えは、頭脳明晰なアルミンによって打ち砕かれてしまった。
「今日はルーナより、遅く寝ればいいんだ」
それってありなの。っていうか、昨日も私より後に寝なかったけ。
「それが、僕もほぼ同時に寝ちゃって……そんなことってあるんだね」
なんて、笑顔で言うアルミンにはいつまでたっても勝てないな。

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