夢小説

□初めて、人を好きになった。
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初めて、人を好きになった。



本日の訓練も滞りなく終わった。
太陽が壁の向こうへと消えていく。
そんな時間に私は、同期のアルミンに呼び出された。
金髪のサラサラの髪。
透き通るような蒼眼。
私は入団式のあの日から、ずっと、アルミンに『恋』という感情を抱いている。
アルミンは私に優しい笑顔であいさつしてくれる。
私が困っていると、いつも真っ先に助けてくれる。
私にとって、アルミンは、王子様なんだ。
そんなアルミンに呼び出された私。
一体、何をしてしまったんだろう。
アルミンと二人きりで会えることは嬉しい……
でも、もしかしたら、アルミンは勘が鋭いから、私がアルミンに想いを寄せていることがばれたのかもしれない。
そうしたら、アルミンには絶対に迷惑だ。
だから、私にそれを伝える為かもしれない。
私の中で嬉しさと不安が行ったり来たりしている。
兵士がほとんど居なくなった訓練場の静けさが私の不安を余計に掻き立てる。
「ルーナ! ごめんね。」
アルミンは肩で息をしている。
どこから、走って来たんだろう。
私の為に走ってきてくれたと思う自分がいた。
「ううん。全然、待ってなかったよ。」
好きな人の前では……
かなりの時間、待っていたけど私は噓をついた。
「そう? よかった。」
アルミンは目を細めた。
アルミンとこんな近くで話せるのも今日が最後。
そう思うと、急に空しさが私の心を満たす。
「いっつも、ルーナのことばっか考えちゃうんだ。」
「どういう意味? 」
私の言葉を最後に長すぎる沈黙が私達を包んだ。
「えっと……それは……」
回りの音がやけに大きく聞こえる。
こんなに、壁の中は賑やかだったんだ。
「あのね、ルーナ。」
アルミンはそこで言葉を切った。
「なあに? アルミン。」
アルミンが大きく息を吐くのがわかった。
私も同じように息を吐く。
「僕、ルーナのこと好きなんだ。」
いつものアルミンとは違う。
優しくて可愛いお友達なんかじゃない。
そこには、堂々とするかっこいい男の子がいた。
「ずっと、言えなかった。ルーナが僕のこと男だって思ってくれてないと思ったから。
 でも、僕はルーナのこと女の子として意識してるんだ。」
耳元で、ごめんね、と呟いてアルミンは私を抱きしめた。
それから、アルミンは好きでもない人に抱きつかれたくないよね、という言葉を付け加えた。
遠慮がちに、でもアルミンの腕に力がこもっているのがわかる。
「僕は、僕は強くないけど、ルーナのこと守りたいんだ。
 だから……僕と、付き合ってください。」
真っ直ぐに私に向けられるその視線。
私の答えはもちろん……

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