夢小説

□意地悪しないでよ。
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意地悪しないでよ。



あまり、柔らかいとは言えないベットに寝転がる。
新兵なんだから、仕方がない。
こんなにかっこいい彼氏がいるだけで、幸せだよね。
私は隣で同じように寝転がっているエレンを見た。
布団から、エレンの優しい匂いが漂う。
「ルーナ……」
エレンは起き上がった。
ベットが大きく揺れる。
それを反動に私も起き上がる。
静寂が私とエレンを包み込む。
もう、何の音も聞こえない。
「どうしたの……エレン……」
私の声がいつもよりも近くで聞こえる。
恋人同士なんだから、この静寂は良い雰囲気へと変わってく。
「ちょっと、目、閉じて。」
私の方を見ずにエレンは呟くように言った。
本当に呟いていたのかもしれない。
「うん……」
静かに目を閉じる。
エレンがだんだん近づいてくる気配を感じた。
温かい指が私の頬に触れる。
「はい。」
「えっ⁉ 」
エレン、今、何かした? 
きっと、顔に出てたんだろうな。
「まつ毛、ついてたぜ。」
エレンはいつもの無邪気そうな顔で笑った。
誤解していた私が恥ずかしい。
両手で顔を覆いながら、さっきと同じように寝転がった。
「期待、してたのか? 」
その声に手をどけると、エレンが覆いかぶさるように目の前にいた。
笑うのを堪える気はないんだろうか。
歯が出ている。
「してないもん。」
絶対にばれる噓をつく。
意地悪をするエレンに少しでも反抗したくて。
「してやろうか……キス。」
エレンの顔が近づく。
エレンはやっぱり優しいな。
一ミリ近づく度に大きくなる私の心臓の音。
エレンに、聞こえてたりするのかな。
「嘘。ルーナが可愛く、おねだりしたら、してやるよ。」
エレンはやっぱり意地悪な人だ。
「もう、いい! 」
勢いよく立ち上がり、また勢いよく扉を押しあけて、廊下を私の部屋へと走る。
鳴り止まない心臓の音は走っているから。
と、自分に言い聞かせて。


「エレン、ルーナのこと、怒らしちゃったの? 」

「うるせえな。アルミンには関係ないだろ! 」

「関係あるよ……なんで、僕が二人の間にいなきゃいけないの? 」

「アルミン、エレンに伝えて……」

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