東巻 短編

□風呂上がり(甘)
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今日は巻ちゃんが俺の家に泊まりに来た。俺の家は旅館なので、離れの自宅でも温泉に入る事が可能。


それを伝えると温泉が好きな巻ちゃんの目が輝いた気がした。

食事を先に済ませ、巻ちゃんに先に風呂に入ってもらった。


自分の着替えなどを持って巻ちゃんと交代すると俺も今日一日の疲れを風呂でとる。


風呂を上がると直ぐに巻ちゃんが待っている部屋に戻る。

俺の部屋に巻ちゃんが居ると思うと知らずに早足になってしまう。


襖を開け中に入ると巻ちゃんはあらかじめ敷いてあった布団にうつ伏せになり自転車の雑誌をパラパラとめくっていた。


長い手足とタマムシ色の髪を惜しげも無く晒している姿を見ると直ぐにでも巻ちゃんを美味しく戴きたくなるが目を一回つむって頭を一旦クリアにする。


「巻ちゃん。我が家の風呂は満足してもらえたかね?」



「ああ。最高っショ」


長い髪を指に絡めている姿を見ているとまたさっきみたいな気持ちになってくる。


ゆっくりと巻ちゃんに近づいてぎゅっと抱きつく。


普段なら邪険に扱われてしまうのだが、そうとう温泉が気に入ったらしく、ちらっとこちらを見たが、そのまま、また雑誌を読み始めた。


巻ちゃんの髪を一束すくってみると傷みなどない髪がサラサラと零れていく。


その動作を何回も繰り返すと巻ちゃんがむくりと起き上がった。


「巻ちゃん??何か気に障ったかね?」


「・・・・・・・・・・・」


巻ちゃんは無言で俺をじっと見続ける。


そのまま沈黙が続くと巻ちゃんの手が俺の頭へ伸びてくる。


その手はカチューシャにかかり、それを取られてしまった。


もちろんカチューシャで留めていた前髪が落ちてくる。


「なっ!巻ちゃん何をっ!」


カチューシャをもう一度つけようとする前に巻ちゃんの手が前髪を梳いた。


「巻ちゃん??」


前髪の隙間から見ると、巻ちゃんは無言でただ俺の前髪を梳く動作を繰り返しているだけ。


なんだかもどかしくて巻ちゃんに抱きついて肩にあごをのせる。

ふわり、と俺と同じシャンプーの匂いがタマムシ色の髪から香って来てそのまま髪に鼻を埋めてみる。

柔らかい髪は巻ちゃんが身じろぐとふわりと揺れて俺の頬をくすぐってくる。


ちらりとのぞく耳をカプッと甘く噛むとビクリと肩がはねる。
その反応が可愛いくて何度もはむはむと甘噛みを繰り返す。

暫く巻ちゃんの耳を楽しんでいると服の袖口をキュッと握られる。


「巻ちゃん?」


顔を覗き込むとその顔はほんのりと赤く染まり、目は合わせてくれないが少しとろんとしているのが分かる。


「可愛い・・・・」


巻ちゃんの髪を少しどかして首筋をぺろっと舐めてみる。
それだけで巻ちゃんは小さく声を出す。


「巻ちゃん可愛い。可愛い」


可愛いと連呼しながら巻ちゃんの髪、耳、額、瞼、頬そして口にキスを落としていく。


何度か角度を変えて、口にキスを繰り返してから深く口付ける。


舌を滑り込ませれば巻ちゃんから舌を絡めてくる。


巻ちゃんの唇をどちらのものか分からなくなった唾液が垂れていく。それを舌で舐めとってまた舌を絡ませる。


唾液ごと巻ちゃんの舌を啜れば小さく唸って蕩けた瞳を覗かせる。


ゆっくりと顔を離せばお互いの間につぅ、と銀色の糸がのびる。


それを視界に入れると慌てて視線をそらす巻ちゃんがまた可愛いくて。


「じん、ぱちぃ」


その表情で、その声で、俺の名前をそんな呼び方でよんではならんよ巻ちゃん。


俺の中に少しだけ、ほんの少しだけ残っていた理性が切れる音が聴こえた気がした。


巻ちゃんにキスをしながら布団に押し倒し、服を脱がす。


細い体には浮き出てしまう鎖骨に甘く噛み、指で身体を撫でる。


俺と巻ちゃんの関係を知っている者は俺たちを除いて誰もいない。

それぞれの部活のチームメイトでさえ。


誰も、これから俺と巻ちゃんが交わることは予想もしないだろう。


ふと、そう思うと巻ちゃんを独占している感じがして心の奥があたたかくなった気がした。


「今夜は長いぞ、巻ちゃん」


「ショ・・・」


ーーENDーー

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