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図書特殊部隊に特殊防衛員として配属された郁と手塚の訓練期間は一ヶ月半ほど延長されることになり、奥多摩に確保されている訓練場で各種射撃や野営などをメインとしたメニューが組まれている。
「図書館攻防といえば市街戦がメインですよね、どうして野営訓練なんですか」
「気分だ!」
と適当な理由を答える玄田から渋い顔をしている堂上へと視線を送ると
「あらゆる想定の訓練で多角的な技術の練成を目指すとともに、厳しい訓練に耐えたことで隊員に自信を育む」
というもっともらしい説明が返ってきた。
(ふーん)
「理由は後付けといったとこか」
「お前というやつは!」
「えっ、あたし今何か言ってました?」
「いい加減思ったことをそのまま口に出すその癖直せ!」
「今何も言ってなかったと思うんですけど!」
「だだ漏れだ!第一俺だってな、今の説明に無理があることくらい百も承知だ。だがお前が理由を求めるからそれらしい説明を加えてやったんだろ」
「ごめんなさいっ!…あのぅ」
「なんだ」
「タスクフォース饅頭なんて売ってたりしませんよね?」
可愛い子は言うことも可愛い、という他隊員の声が聞こえたが…
「そんなもん売ってて堪るか、どアホウ!」
「柴崎に頼まれただけなんです!あたしはそんなものないって言ったんですけどっ」
「じゃあそんなこと上官に聞くなっ!」
いつものような二人の様子を見て小牧は笑いのツボに入ってしまい、手塚は冷ややかな視線を郁に送っていた。