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「あのクソ鬼教官あたしのこと目の敵にしてなーい?」

そう笠原が柴崎に愚痴をこぼすのは午前にハイポートの訓練があった昼食の時である。

「クソ教官て……堂上教官のこと?」

「そぉよ!いくらあたしが倒れこんだとはいえ8位だよ?しかもちゃんとゴールした後なんだからいいと思わない?」

「えー、でも私は堂上教官タイプだけどなー」

「どこがいいのよあのチビ」

「でも私よりは高いしねー」

柴崎の身長は157cm。大抵の男よりは小さいカノジョになれる。
一方笠原の身長は167cmと大柄である。
そして話題に上がっている堂上教官の身長は目測で165cmといったところであろうか。

「あんた身長でえり好みしてると選択肢が狭まるわよ、せっかく私と並ぶくらいの男子からの人気はあるっていうのに」

「身長を気にしなかったとしても奴だけは論外よ、性格悪いし」

そう柴崎に食らいつくように言った瞬間後ろの殺気だった影に気づく

「お前らの俺に対する評価はよくわかった」

「ど、どうしてこちらの食堂におられるのですか」

「こっちの日替わりの方が美味そうだったんだ。それとさっきの口調の方がラクそうだったからそれでいいぞ。ここが規律厳しい軍隊じゃなくてよかったな」

(嫌味な奴)

「チビで性格の悪いクソ教官か……俺も人間だからたまたま耳に入った罵詈雑言が指導に影響を及ぼさないかどうかまでは保証できないが」

「私は褒めてたから関係ないですよねー」

としれっと友人を見捨てる柴崎。

(女の友情なんてこんなもんなのか!)
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