喧嘩が強い。それだけ。


□バブ39
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卒業式当日になった。

空は快晴。気温もだいぶ高くなり、桜のつぼみが膨らみ始めていた。

この前の一件で天井に開いた穴もなんとか修復し終わり、無事にこの日を迎えることができた。

この石矢魔高校に入学して一年間本当にいろいろなことがあった。神崎さんに気に入られて先輩たちと絡んだり、兄さんが男鹿くんにぶっ飛ばされたり。たくさん喧嘩もしたけどその分遊びも多かった。普通なら関わることのなかった聖の人たちとも関わりが生まれた。なぜか悪魔と契約しちゃったりもしたし。おかげで今は中二病の代名詞であるオッドアイだよ。どうしてくれんの。あ、ここ笑う所だよ。最終的にサタン倒しちゃうし、世界救っちゃうし、ありえないよこんなの。これ一年間で起きたことだからすごい。

なーんて物思いにふけってみたりして。

そんな騒がしい一年間だったけどいつも中心に男鹿くんっていうウルトラスーパー強いやつがいた。彼のおかげで楽しい思い出も増えた。
私一人だったら絶対こんなに友達増えてないもん。


夏「雨深ちゃん。」


そして大好きな人もできちゃったわけで…そんな彼は今日卒業してしまう。会えなくなるってわけじゃないけどすごく寂しい。この高校から彼…いや、三年生の皆がいなくなると考えるとすごく寂しくて涙が出てしまう。


神「おーい、雨深。」


卒業式の会場である体育館に行くと絶対泣いちゃうからと屋上でこうして春の風を全身で感じているわけだけど、幻聴かな…みんなの声が聞こえてくる。


姫「おいこら馬鹿妹!」


『幻聴じゃなかった。』


姫「てめー何ふざけたこと言ってやがる!送辞はてめーだろうがッ!」


『・・・あ。』


夏「引きずってでも連れて来いって言われちゃったからさ…ごめんね?」


体が宙に浮く感覚。また担がれてる!?


『ちょ!さすがに自分で歩く!』


神「お前降ろすとどっか逃げるだろ。」


『逃げないから!ほら、視線が痛い!』


自分で蒔いた種だろ、と軽くあしらわれ体育館の前で降ろされる。これまでにない緊張感に襲われて握っていた手にさらに力が入る。

たのむからみんなこっちを見ないでくれ。
赤星ちゃんは笑うな!!


「…えー、では気を取り直して。送辞、在校生代表姫川雨深。」


『はい。』


送辞なんてやったことないし、カンペもない。
ステージに立ち、礼をしてまっすぐ前を向く。

落ち着くように一回だけ深呼吸。

この一年間の思い出をつらつらと述べていく。
良く回る口だな、なんて我ながらそう思うよ。

最後の言葉を震える唇で紡ぎだす。


『ありがとうございました。』


また、一礼。

涙があふれそうになり、下を向きつつステージを降りる。もーむり限界。
こっそりステージ脇の誰もいない放送室なかで泣いた。




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