Turn Over Life....


□Organizzazione chiamata passione.
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今俺はこの宿舎のオーナーへの挨拶がてらオーナーが経営しているカフェでディナーを楽しんでいる。
時間が遅いせいか客は私以外に数名。片手で数えても足りる程度だ。

カウンターに案内された俺はありがたいことに色々とサービスをして頂いた。
それと同時に来週からこのカフェでバイトとして雇ってくれることが決まった。実に有難いことづくしである。
本当は明日からでも働いてもいいのだが、エドモンドさん曰く、働く前にネアポリスを観光してどんな街か少しでも知って欲しいから来週から働いてもらいたいとのこと。

幸せを噛み締めながらパスタを食べていると隣に男性が腰掛けてこちらに話しかけてきた。黒い頭巾を被っていて黒い眼球に紅い瞳をした体格のいい男性だ。


「見ない顔だな。...その割には店主と仲がいいと見える。組織のものでもなさそうだ。...何者だ?」


『あ、えっと...昼間からここの2階にお世話になっている者です。』


「...お前は入団試験に合格したのか。」


会話が噛み合っていない。そして先程から組織、とか入団試験、なんて言葉が出てくるのは何故なのだろうか。


『あ、あの...組織とか入団試験とかよくわかんないんですけど…。』


正直に述べると彼はため息を吐いたあとにウィスキーをオーダーし、店主のエドモンドさんを呼び止めた。


「なぁエドモンド。コイツは組織のものか?」


「これからなる予定です。ボスにはもう伝えてあります。」


『ちょ、話が見えないんですが...さっきから組織とか入団試験とかなんなんですか。』


私の一言で店は静まり返った。


「そうでした。君には何も店のことを教えていなかったのでしたね。...この店のこの時間はここネアポリスを牛耳るパッショーネの構成員のみが入れるようになっているんだ。だから君みたいな見慣れない子がいることにみんな不思議がっていたのですよ。」


今思えば表にはCLOSEと書かれた看板が下げられていた。が、君は特別だと中に招かれたのだ。俺ももう少し警戒をするべきだった。


「エドモンドが許したということはコイツはスタンド使いという事か。」


「えぇ。」


『何故私がスタンド使いだとわかるんですか...。』


「私のスタンドはこの建物なのです。2階以上の居住区にはスタンド使いである人間、若しくはその素質があるものしか入ることが出来ない仕様になっているのです。なので部屋が貴方を拒絶しないということはそういうことになります。」


この建物自体が彼のスタンドだということに驚くと同時に、昼間会った彼らもスタンド使いであるということを知る。
能力こそ分からないが敵に回さないようのしよう。
頭の中でぐるぐると考え事をしていてもしょうがないと思い、正直に思ったことを口に出してみる。


『...俺はこれからどうなるんですか。』


「そうですねぇ。組織の一員として私の元で働いて頂きます。あぁ、ご覧の通りカフェのお手伝いです。...まぁ、ボス次第でもありますが。」


「言っとくがエドモンドは組織の幹部だ。彼の言うことは絶対に従えよ。」


『入るなんて決まって...』


「この宿舎の鍵を渡したのが契約完了の合図ですよ。」


『...ッ』


詐欺ではないか。思わず顔を歪めてしまう。
すると少し離れた後ろで話を聞いていた男性が、綺麗な顔が台無しだぞ、と背中を撫ぜてくれた。


「まぁそういう事だよ奏多さん。明日この店の近くの大聖堂に行きなさい。いいね。」


グラスを磨きながら紡がれる言葉はまるで拒否権がないとでも言っているかの様。

日本からはるばる訪れたと思ったら気づいたらギャングの仲間入り。
急に目眩がしてきて額を抑え大きなため息をつくとエドモンドさんが笑った。


「お前も性格が悪いな、エドモンド。」


「いえ。私は優秀な部下が欲しかっただけですよ、リゾット。」


俺の隣にいたリゾットという男はウィスキーのショットを呷るとクツクツと喉の奥で笑った。


「ようこそ、パッショーネへ。...なんて、まだ気が早いか?健闘と祈るよ、奏多。」




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