Turn Over Life....


□再び。そして潜入。
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カフェ・ドゥ・マゴ

久しぶりに放課後に町をぶらついていた。そこで目に止まったのがこの喫茶店だった。店に入るとテラス席に案内された。今日は実に良い天気だ。とても清々しい気分になれる。露伴先生の新刊を片手に注文した紅茶を啜る。本日の茶葉はダージリンだ。紅茶の良い香りがあたりに香る。


「今日はなんていい日なのでしょうか」


俺はにやけそうになるのを抑えつつ、本のページをめくった。

突然少し離れた席から陶器を叩き潰した様な音が聞こえた。イヤホンで音楽を聴いていなかった私は音に反応してそちらを見た。
何処かで見たような顔だ。はて、何処であったのやら、と考えを巡らせるが思いつかず。
また大きな物音がする。今度はその男性が机を叩き割っていた。丈夫そうなテーブルが真っ二つだ。そんなに力があるとは思えないのだが。

私はそれを横目で見ながら紅茶を啜った。実に美味しい紅茶だ。
なんて言っている暇ではないのだが。

彼は金を払って何処かへ行ってしまった。興味が無いので追うのはやめた。

それにしても先ほどの男性は何処かで見たような顔つきをしていたな。

ああ、思い出した。
よろけた時に支えてくれた人だ。林檎を手渡した彼だ。

追おうとしたが時既に遅し。彼の姿は何処にも見当たらなくなってしまっていた。





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