Turn Over Life....


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『出来た...!』


スコーンは美味く簡単に出来た。

問題はティラミスの方だった。
スポンジを焼き、抹茶を染み込ませ、チーズを練りこんだクリームをのっけて抹茶をふりかける。
ティラミスなんて初めて作った…けど味は問題ないようだ。
ちゃんと美味しい。

で作りすぎてしまった。
私とエドモンドさんが試食として食べても絶対余る量だ。
実際に販売することを想定して作ったらそうなっていた。


『...いや、消費者は他にもいる。』


天井を見つめながら独り言が漏れる。

スイーツがのったお皿をトレーに乗せて部屋を出た。


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『というわけなんです。試食お願いします。』


「...俺らでいいのか?」


「すげー。これ奏多が作ったのかよ。」


上階にいたのはホルマジオさんとイルーゾォさん。
その他の皆さんはお仕事のようだ。今日もどこかで多くの血が流れるわけですね。
メンバーの皆さんが怪我してないといいんですけど。


『御二方に食べていただけるのなら本望です!』


2人にスイーツを差し出すと、一種類ずつ吟味し始めた。


「お、このティラミス、すんげぇお茶のいい香りする!これが日本のお茶かぁ。味も甘すぎねぇし丁度いいぜ。」


「このスコーンもうまい。レーズンっていうチョイスもいいんじゃあねぇか?...ワガママ言うならチョコバージョンが食べたい。」


『貴重なご意見ありがとうございます!...メモメモ。』


2人から味の感想をもらい、本格的に新メニューにしようと誓う。


「奏多は料理もできんだな。」


『一応は...プロシュートさんにはかないませんけどね。』


「アイツ何故か無駄に上手いからな。」


「いやぁ、アイツいなかったらマジここの食事どうなってたんだろうな。」


2人会話を楽しみつつ、紅茶をいただく。
関われば関わるほどこのチームの仲の良さを感じられる。
仕事が仕事なだけにやってることはえげつないだろうが、とても楽しく暮らしているようだ。
...まぁ、関わって約1ヶ月の私から言えるのはその程度。
彼らが仕事をしているところは1度たりとも見ていないし、今後も見ることは無いだろう。見るとしたら、私がヘマしてバラされる時か、何かにはめられた時か...。考えたくもない。

ホルマジオさんとイルーゾォさんそれぞれ食べていたものを交換し、また感想を述べていく。
意外にも抹茶が好感触で調子に乗りたくなってしまう。が、ここでは抑えておこう。


「あ、イルーゾォ。奏多の作った菓子食ったなんてみんなに言うなよ。」


「だな。あとが面倒だからな。」


『え、何かあるんですか?』


「メローネあたりが駄々こねる。」


「ずるいーって1時間は騒ぐだろうよ。」


『それは面倒ですね...。』


「大の大人がよォ、恥ずかしくねーのかよってな!でもまぁ、駄々こねても不思議じゃねーくらいこの菓子はうまかったぜ。」


「それは同感。」


2人からお墨付きを頂いたので満足した。

そのあと、エドモンドさんから味を認められ、正式に新メニューに追加することとなる。
抹茶ティラミスは物珍しさからか、人気になり、雑誌にも取り上げられた。
スコーンは週替わりで味を変えるというこだわりもあってか毎週食べに来る常連さんも増えた。
これにはエドモンドさんも喜んでいたし近所の人にも笑顔が満ちた。

彼はこういった地域に根付いた活動を行うからこそ、部下だけでなく住民にも慕われるのだ、と思った。

ギャングにもいい人はいるんだなぁ。




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