kick off


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『こんにちはー。』


達「お、丁度いい所に。ちょっと世良のとこ行って来てくれる?」


『世良さん、ですか?』


達「うん。後で俺んとこにも来てね〜。」


あそこにいるから、とクラブハウスのベランダを指さす達海。
そのあと練習場に入っていってしまった。

私にどうしろと。


『こんにちは、世良さん。』


世「う、噂のE.S.さん!?なんでこんな所に!?お、おおお俺今こんな状態で描いても楽しくないっすよ!?」


自分の足を指差して慌てている世良さん。この前の試合で怪我をしてしまったようで、包帯が巻かれていた。
軽い捻挫らしい。すぐ治るといいな。


『この前描いてたもの見て欲しくて。監督に行っておいでって言われちゃったので、来ちゃいました!』


世「...誰描いてたんスか?」


『世良さんです。シュート打ってる時すごくかっこよかったので…止められちゃったけど。あの時の怪我ですよね?早く治って欲しいなぁ。』


世「...!!すげぇ...これ俺かぁ...!」


『はい!』


世「え、めっちゃ嬉しい…俺もっと頑張る!怪我も早く治す!...痛ッ」


喜びからか勢い良く立ち上がったのはいいものを、怪我している足も地面に着いてしまったものだから、痛みに顔を歪める世良さん。
私は慌てて彼を支えて、椅子に座らせる。


世「あ、ありがとう...。なぁ、俺も名前って呼んでいいか?」


『もちろんです!』


世「ありがとう名前!俺なんかやる気出てきた!」


『それはよかったです。またゴール決めてくれるの期待してますね。』


世「おう!名前も絵、楽しみにしてる。」


わしゃわしゃと頭を撫でられ、少し恥ずかしくも嬉しく感じる。
なんだか兄ができたみたいだ。


和んでいると下から達海が私を呼ぶ声が聞こえた。
ベランダからしたを見下ろせば私の方を見て手招きをしている。
世良さんに一言断って、達海の元に向かうことにした。



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