氷帝
□懇願
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いつもどおり帰り道を歩いてた。
隣で歩いている筈の若が遠く感じた。
「どうしたんですか?赤坂さん。」
心配そうに覗き込む若。
私は苦笑いをした。
「ううん。何でもないよー。」
“そうですか”と言いながら歩き始めた。
私はついていくので精一杯。
段々距離があいてくる。
“行かないで、行かないで”
そな言葉すら届かない。
「そういえば、知ってますか?」
若は一旦足を止めた。
「今日は月が綺麗なそうですよ。」
振り返る事なく、そう言った。
(ただ隣にいさせて)