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□序章
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泡沫学園、そこは中等部、高等部に別れていてしかも女子禁制の男子ばかりの学園だ。
俺は今日からこの学園に通うことになったのだが、中等部から仲のいい生徒達と今日から通うことになった俺。
友達作りには多少ハンデあると思う。
高校生活がぼっちとか、折角こんなお坊ちゃま学校に通えるというのに何だか残念だ。

ここは金持ちのボンボンが通う学園で、俺みたいな庶民が通うなんておかしな話なのだが、剣道の特待生としてここに入学できたのだ。

名簿順に並んで、入学式が始まった。
校長の長ったらしい話しを聞きながらそれをBGMにして聞いていたのだが眠たくなり、顔を伏せた。どれくらい時間がたったのか、暫くして黄色い悲鳴で目が覚めた。

「っ!?」

一体何事だと思い、ステージを向くと俺達一年生と同じネクタイをした生徒がステージに登壇していた。色素の薄い栗色の髪と翡翠色の瞳。色白の肌に整った綺麗な顔立ちをしていた。
良く見れば両手にはゴム手袋、腰には消毒スプレー、そしてマスクを着用していてなんとも暑苦しそうな印象を与えていた。

だが、何故彼らはそんなに黄色い悲鳴を上げているのだろう?
首を傾げていると、ふと後ろの席の生徒が問うてきた。

「あれ、お前って高等部からの生徒?」

「え、えぇ。そうです。あの…彼、有名なんですか?」

「有名もなにも、あれは生徒会副会長様の太刀川廉様だぜ?」

1年生で副会長……か。住む世界が違うなぁと思い、ステージに登壇する彼を見ていた。

「そんで、学園一……」

突然マイクの近くまで来ると消毒スプレーをマイクにかけ始めた。

「!?」

「潔癖症なんだよ。」

これでもかこれでもかという程に消毒スプレーを吹きかけ、気が済んだのかスイッチを入れて言葉を喋り出した。新入生の言葉、というやつだろう。流石、副会長様で、素晴らしいことを言っていた。覚えてないけど。

暫くして、入学式が終わり、担任の紹介があるとかで体育館から教室に向かう。その移動時に後ろの席の生徒が走ってきて肩を掴まれた。

「おれ、羽澄 神って言うんだ。よろしくな。お前は?」

「ん、俺は…杉崎 雪って言います。こちらこそ、よろしくお願いします!」

「そっか、杉崎だな!堅苦しいから敬語なしでいいけど…癖?」

「えぇと…まぁ、そんな感じです。」

あはは、と笑うと羽澄はそっかぁーとつられて笑った。

教室に入ると自分の名前が貼られた所に腰を下ろした。机に立てかけてある竹刀袋を見て目を細める。

暫くして担任の教師が入ってきた。すると開口一番俺の名前と副会長様の名前が呼ばれた。
一体何事だと目を見開き、担任の次の言葉を待った。

「太刀川は生徒会室、そんで杉崎。お前は風紀室に行ってこい。」

その言葉に周りの生徒はザワザワとしだした。

「風紀室…?」

「入学早々風紀室に……!?」

「風紀室ってヤバイんじゃ…」

と、口々になにやら言ってる生徒達の口ぶりからしてかなりやばそうな雰囲気を醸し出されていた。

「 杉崎?どうしたー?」

担任の教師の気の抜けた声にハッとして俺は立ち上がる。

「な、何でもないです!風紀室ってどこですか?」

「あぁ、杉崎は確か高等部からだったか。太刀川、丁度いいから案内してやってくれないか?」

「ちょっと待ってください!!」

突然、机を乱暴に叩きつけて立ち上がったのは数人の生徒。

「太刀川様がわざわざ案内なんて……!!そもそも、あらかじめ学園内を把握してなかった彼の責任じゃないですか!」

「そうですよ!そもそも、彼がこんな一般生徒の教室にいらっしゃるなんておかしいです!」

「太刀川様もきちんとした生徒会専用教室の整った教室でお勉強なされるべきです!」

ポカンと立ち尽くす俺。なになに、そんなに副会長って偉いの?

「…別に構わないですよ。」

彼らの言葉に耳を傾けず、立ち上がる副会長。
それでもギャーギャー言い始めた生徒に微笑みを浮かべると、彼らは頬を赤らめ黙った。

これぞイケメンにするされる特権。

副会長はさっさと教室から出ていった。それを見ていた担任が、俺の方を見て口を開いた。

「早く行かなくていいのか?置いてかれるぞ。」

「うあ!?今行きます!!」

俺はつい竹刀袋を持ち、教室から出ていった。

残された担任は少し不思議そうに

「何でアイツ、竹刀袋持っていったんだ?」

と、疑問をつぶやいた。
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