-Japanese Soul-

□☆ tsim Affettuoso 2
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ー大会前日ー



「臣、今日は上がっていいぞ。ゆっくり休め。」



直己さんの気遣いで早く上がらせてもらう。



「ありがとうございます!」



「見に行くから、頑張れよ!」



ナオトさんが気合入れで背中を思い切り叩く…



「いっって!!! あざっす!お疲れ様でした!」



現地開催だから、本当は隆二にも見て欲しかったけど、連絡無いんじゃ、無理だよな。



一本乗っとくか。



店を出ると、少し離れたところから、こちらを見る人がいた。



ん?



隆二?



俺に気づいたんだろう。踵を返して早足でその場を去って行く。



「なんだよ、アイツ…」



俺は自転車に跨り、隆二を追いかけた。



隆二の前を自転車で塞ぐ。



「な、なに…」



「波乗りに行こうと思ったの。
お前はこんなところまで、何しに来たの?」



「さ、さんぽだよ。」



「コース変えたのか?」



俺は嬉しくて顔がニヤける。



「う…ん。」



隆二は、目を合わせず、ずっと俯いたまま会話をする。



俺がいる店探したんだろうな。たぶん…



家からはかなり離れてるハズだ。



「送る」



「いらないよ…1人で帰れる…」



「じゃ一緒に歩く」



観念したのか、スタスタと歩き出した。



「ごめんな」



「…」



「何でメールくれないの?」



「…なんて返したらいいか…、分からなくて…」



「また、前みたいに会ってくれる?」



コクンと頷く隆二の顔が少し赤いのは、気のせいなのかな…



「そーだ!明日、このビーチでサーフィンの試合があるから、見に来てよ。」



「え?そーなの?臣出る?」



「もちろん!だから、誘ったの。(笑)」



勘が鈍いな、なんて笑いながら隆二の家までの帰り道を二人で歩いた。



「あ、ありがと。ここが俺の家。」



へぇ……家デカ……



良いところのお坊ちゃんって感じだな。



「隆二さん!」



門の中からの声に二人で振り向く。



「何処行ってたんですか!」



「あ、岩ちゃん。来てたの?」



「「あ、岩ちゃん」じゃないですよ。時間過ぎてます。」



「あ、本当だ、ゴメンね。じゃ、臣、また明日。時間と場所メールして?」



「……お、おう。じゃぁな。」



門の中に消える隆二を見送り、岩ちゃんと呼ばれる人物に会釈する。



岩ちゃんは、俺を睨むように見つめて、隆二と一緒に家の中へと入って行った。



どっかで、見た事あるんだよなぁ……



でも、なんで睨まれたんだろ……



疑問を抱きつつ、俺は家に帰った。
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