-Crystal of snow
□Voice 3
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そんなこんなで、週末が到来。
スマホでニュースを見ながら、電車を待っていた。
今日は、お父さんところ行こ♪
何食べようかなぁ
…照が居ないことを願う。
電車が到着するころ、背中に衝撃が走った。
線路にほど近い所に立っていた私は、バランスを崩し、踏ん張ろうと足が1歩、2歩と前に進み、あと1歩で線路に落下する…
「オイ!」
誰かの声と共に、腕と腰を引っ張られホームに倒れ込んだ。
「キャー!!!」
今までの無音の世界から一転、悲鳴や野次馬の声がザワザワと聞こえ始めた。
「…間に合った。」
耳元で聞こえる、大好きな声。
怖々目を開けると、間近に照の顔があった。
「…」
「大丈夫ですか!?」
駅員さんが駆け寄り、膝まづく。
「俺は平気です。しのり、 立てるか?」
名前を呼ばれ、我に返った。
「…あ、はい。だいじょ…」
立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
先に立ち上がった照が、私の体を支えて立ち上がらせてくれた。
「駅員室まで、歩けますか?」
「はい。」
「一緒にいきます。」
照に支えられながら、2人で歩いた。
念の為と言われ救急車で病院へ行き、警察と話をしてやっと解放。
照は、家まで送って行く。と言ってくれ、言葉に甘えた。
「ごめんね。付き合ってくれて、ありがとう。」
「ホントに大丈夫か?」
「大丈夫。ただ、スマホ壊れちゃったから、それがショック。」
「スマホだけで、よかったよ。」
「まぁね。…ホントにありがとう…」
ホッとしたのか、涙が零れた。
「…怖かったよな。」
そう言いながら、頭をポンポンと優しく撫でて、そっと抱きしめてくれる。
落ち着く。人の温もりって、久しぶりだな…
「ありがとう。もう大丈夫。」
「ん。じゃ、早く寝ろよ。」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ」