-Crystal of snow

□Voice 3
1ページ/4ページ

休みが明け、出勤。


満員電車にゆられるこの時間は、とっても憂鬱…


下を向き、揺れに身を任せていると、自分の周りに少し余裕があることに気づく。


顔を上げれば、照の顔が近くにあった…


照は目を合わせることなく、呟く。


「おはよ」


「…お…はよ…」


ドアに手を付き、私を庇ってくれていた。


下から見上げると、綺麗な顎のライン。


何、見惚れてんだ…
恥ずかしくて、また下を向く。


でも、何で?何で?何で?


通勤時間違うハズなのに!


「ありがと!」


電車を降りるタイミングで、声を掛け早足でその場を去った。


会社に到着し、自席に着くが落ち着かない。


今まで同じ電車に乗ることなんてなかった。
私が出勤する時間は、かなり早い。
少しでも、通勤電車が空いてる時に乗りたかったからだ。


ま、照が何時に出社してるかなんて知らないけどさ…


今日は偶然だな。そうしよう。そう思おう。




…その、考えは思い違いだったらしい…


毎日同じ電車で、同じ車両…


しかも、社内でも声を掛けてくる…
仕事の話なら、良しとしよう。でも、違うんだよ…


何故だ…
今までの距離は?どこへ?


社内で見かければ、私が身を隠す…


「何やってんだか…」
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ