Dream

□J …your song…3
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side しおり


佐野さんがリハ室のドアの小窓から、中の様子を見て、ドアを勢いよく開ける。



「お疲れ様〜」



「「お疲れ様です。」」



佐野さんに続いて一礼してリハ室へ入る。



ATSUSHIさんが、笑顔で迎えてくれた。



「ようこそ。ココに座ってゆっくりしてて。」



「はい。」



暫くすると、曲が流れATSUSHIさんが、歌い出す。



あ、この曲。



『Smoke Get In Your Eyes』



Jazz の有名な曲だ。



カッコイイ…



軽くSWINGしながら気持ちよさそうに歌ってる。



私も自然に体が揺れ、口ずさんでいた。



佐野さんと目が合うと、笑顔で答えてくれる。



続けて何曲かカバー曲を歌い、休憩となった。



音の迫力とATSUSHIさんの歌声に完全にノックアウトされ、ボーッとしてしまう。



「どうだった?」



佐野さんが近付き声を掛けられる。



「……あ、はい。」



「その顔は、俺の言ったとおりになったってことかな?」



佐野さんが微笑む。



「やってくれる?」



「…えっと、寧ろ私でいいんですか?」



ATSUSHIさんもバンドやコーラスの方達も、さすがプロだ。
圧倒される。そんな中に素人の私が入るなんて想像出来ない。



「ね、しおりさんの歌聴かせてよ。」



ATSUSHIさんが後ろから話しかけてきた。



「俺まだ聴いたことないもん。」



ね?とウィンクする。
カッコ良すぎでしょ…



「そうだったな。Smoke Get In Your Eyesなら、歌えるでしょ?」



「あ、はい!」



きんちょー……声出るかな……



「よし。じゃ高瀬、ギター弾いてくれるか?」



「OKですよ。」



「じゃ、音合わせて。」



バンドの、高瀬さんがアコギで弾いてくれることになり、音を合わせる。



「OK?」



「はい。」



イントロが流れ、私は歌い出す。



さすがプロ。私に合わせてくれるから、凄く歌いやすい。



佐野さんとATSUSHIさんがこちらを見てる。



緊張して声が出てないけど、何より楽しい!



真剣な顔で見ていた二人も笑顔になった。



途中でATSUSHIさんもセッションしてくれて、いつも以上にうまく歌えた気がする。



曲が終わり、バンドメンバーが拍手をくれる中、ATSUSHIさんと目が合った。



満面の笑みで私を見てる。



「キャプテン!さすがだね。こんな逸材見つけるなんて!」



「だろ!(笑)」



「しおりさん、よろしく。」



ATSUSHIさんと、ガッチリ握手を交わすと、佐野さんがバンドメンバーに紹介してくれて、私は新規メンバーとなった。
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