Dream

□J … Office Love
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「はぁ〜」



疲れたなぁ…でも、後少し。



チョコを一つ頬張り、気合いを入れ直して、パソコンに向かった。



「 お疲れ〜」



コトンと机にコーヒーの入ったカップが置かれる。



頭上を見上げると、同期の今市隆二。



「あ、ありがとう」



「緊急な案件?」



「うん…ちょっとミスっちゃって、経理からフォローされてるんだ」



「決算近いもんな〜。かんばれよ。」



「ありがと、コーヒーのお陰で、もう少し頑張れそう♪」



「じゃぁね。」



隆二スマイルで事務所を去る



「お疲れ様〜」



おし、やるぞぉ。さっきよりも気合いが入った。
私って単純(笑)



隆二は、頼りがいがあって、でも、天然なところもあって…私の片思いの相手…



そりゃ、付き合えたら幸せだけど、今の関係を崩したくもない。彼女もいるだろう。だから、たぶん、ずっと片思い…



仕事の目処がたち、帰る準備を始めた。



まだ、終電には余裕だな。
何か買って帰ろっと。



スイッチを消して、踏み出した瞬間…ドン…???



「いってーな。前見て歩けよ…」



目の前に、同期の登坂広臣が立っていた。



「あ、ごめん。」



ん?でも、なんで臣がここに?



「何やってんの?こんな時間に」



「それはお前も一緒だろ」



「残業ですよ。」



「俺は、明日の資料取りに戻ってきたの。」

 

「あ、そ。じゃ、鍵戻しておいてね〜。」



守衛室に行く手間が省けた。ラッキー♪



「あ、しおり 」



「何?」



「送ってやるから、待ってろ。」



相変わらず上からだなぁ…



「いいよぉ、寄るとこあるし。じゃ、お疲れ様〜」



手をヒラヒラさせて、その場を去る。
夕食買わないとね♪



近くのコンビニで、夕食を選んでると、頭上から聞き覚えのある声…



「さみしいなぁ。ヒトリメシ」



カチン!



振り返れば、さっき別れたばかりの臣の姿があった。



「もぉ 慣れたよ。ヒトリメシ。」



「メシ行くぞ」



何なんだ?



「いいよ、疲れたから帰る。」



「ほら、行くぞ。」



と腕を引っ張られ、連行された… 



なぜか、ずっと離さない手…



「あの〜そろそろ離してもらえます?」



あ、ゴメン。と小さな声でつぶやく。



結局入ったのは、牛丼屋。



「色気ないなぁ」



「文句言うな」



はいはい…



「今日は、珍しく隆二と一緒じゃないんだね」



「そんなにいっつも一緒にいねぇよ」



「いやいや、いるっしょ。変な噂立つくらいな
んだから(笑)」



「だから、オレはノーマル!」



「はいはい(笑)」



そんなにムキにならんでも(笑)



「なぁ、隆二のことどう思う?」



吹き出しそうになるのをこらえ



「な、何?急に…」



「いや、なんとなく聞いてみただけ」



「臣と張り合おうなんて思ってないから、安心して(笑)」



「だ〜か〜ら!違うっつぅの!」



臣にも、誰にも気付かれないようにしないと…



元々、隆二の事は気になってたが、忘年会の二次会で、私は恋をした…



二次会のカラオケで、盛り上がっていた時、隆二が歌った『LOVE SONG』で、私は一気に恋に落ちた。



初めて聞いた、隆二の歌は、上手なんてレベルじゃなく、声もすごい素敵で、何人の女子の目がハートマークになったんだろうか…



歌い終わった後の、隆二スマイルにとどめを刺されて、今に至る…



「ごちそうさまでした。行くぞ。」



と、手を合わせ、臣が立ち上がる。



「あ、うん。ごちそうさまでした。」



伝票を持ち、先に出て行ってしまった。



「ちょっと、自分のくらい払うよ。」



「あ〜、面倒臭いから、いいや。今度、何かおごって。」



「わかった。ありがと。」



それから、臣はアパートまで送ってくれた。



なぜか、近所だったんだよね。



隆二も、実は近所…



忘年会で送ってもらってから、というもの、この辺りで会ったことはない。
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