J9 基地のゲート2

□Rare and Hope
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 弾みをつけてリズミカルに日を過ごす。たぶん、はたから見たら区別なんかつかないだろう。違って見えるとしたら、ざっくりだけど部屋の片付けなんかしちゃった事くらいだ。案の定、そこは多数のツッコミをいただいた。

 今日は外メシにすると、メイに断りを入れての夕刻。そろそろ出ようか、もうしばらく後かと悩んだ挙げ句に格納庫へ向かうと、発着を知らせるランプが点滅を始めた。

「よっ、キッドさん、おっかえりー」


 通路から格納庫へ歩きながら、ようやく姿を拝めた安堵をごまかして、ことさらでかい声。

「どんな感じよ?ラスプーチンは」

「だーめだ、ありゃ。武装のセンス無いね。セキュリティは頑丈だけどさ、一歩でも踏み込まれたら本人はてんで抵抗出来なさそうだぜ。海賊放送とかよくやってられるよ、まったく」

 ヌビアがちょくちょく絡んで来るようになってから、俺たちとのやり取りが頻繁になっているのを心配して、アイザックはラスプーチンの身辺のガードがどうなってるか、直接チェックして欲しいとキッドに頼んだ。結果がキッドの言う通りならアイザックの心配も大当たりってことだ。しばらくは二人がかりでラスプーチンの世話を焼く感じかな。

「俺ちゃん今日、外メシね」

「なんだ、いいタイミングでそこに居るから出迎えかと思った」

「へぇ、、出迎え、欲しかった?」

「、、、いらね」

 待ってたよ、ほんとは。
 いい気分で一日過ごせたけど、いつでも思い出せるゾッとする夢。不安と焦りでどうにかなりそうだったあのリアルな感覚。
 ちょっとキッドが留守してる間にあんな夢みて、まだ心臓バクバクしてるなんて、バレたら馬鹿にされるどころか、本気で嫌がられかねない。顔だけ見られたら、少し距離と時間をとって、、、でないと、そう、今すぐにでも抱き締めてぐずぐずなコト言いそうだから。
 コズモワインダーでさらっと行ってさらっと帰るつもりで、格納庫の備品部屋にヘルメットを取りに入ると、通路の方へ遠ざかって行った足音がなぜか引き返してきた。

「やっぱ俺も行くー」

 ええーっっ?

「ナンダ?その変なツラ」

 あっ、思いっきり顔に出た。「勘弁してくれ」と「嬉しい」のミックスが。

「アイザックに報告すんじゃないの?待ってるだろ」

「急ぎじゃないしな、待たせとけ。って言うかさー、ラスプーチンが喋る喋る、アイザックの昔のコトっ。も、可笑しくて、お前にバラしてワンクッション置かなきゃアイザックの顔まともに見れねえよ」

 こ、これは、、だめだぁ、、っ。それ聞きたい。んでもって、それを話すはしゃぎ気味のキッドが、いま見たい。

「あ、悪りぃ、、もしかして、約束とか?」

「無い無い。一人よ、俺ちゃん一人ですっ」

 あー、もうやめだ、やめだ。すなおが一番よ、っとくらぁ。

「二人なら子猫ちゃんにしとくか」

 ヘルメットをもてあそびながら備品部屋に戻しに行き、、、。

「ねー、キッドさん、ちょっとちょっとー!」

「あー?」

 無防備にやって来たキッドを抱きすくめる。

「ちょっ、、、おい、、っ」

 キッドが慌てて身を捻ってドアを閉めた。

「二回目言うけど、、おかえり、、」

 夢の中ではとうとう会えなかった。どうなったかもわからないまま。

「どんだけ留守番ニガテなんだよ、お前は、、」

「ニガテついでに、キッドさんの手がお留守なのも気になるなぁ。どうする?押し返す?抱きしめる?」

「さ、、どうすっか、、、なっ!!」

「わ、、、っ」

 いきなり食らわしてくれたのは足払いだった。コケはしなかったが、抱きしめていたはずのキッドの体にすがり付くようなカッコになってなんとか踏みとどまる。

「なんでソコで手じゃなくて足なワケーっ?」





 
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