J9 基地のゲート1

□そして続く君との時間
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 メイを探してボウイはうろついていた。てっきり通信室かと足をむけたらハズレで、そのまま惰性歩き続けている。
 メイ・リン・ホー。現在12才。彼女の一日は忙しい。J9 に仕事が入ればほとんど通信室に居ることとなるので、まだまだ学業半ばの彼女と弟は、仕事の無いときは半日以上の時間を勉強に当て、その上でメンバーの食事を賄う。以前は彼女が取り仕切っていた掃除は弟と分担だ。
 最近は古くなったデータの処分など仕事に関わる事も任され、弟はもっぱら備品の在庫管理などを手伝う。弟は物、彼女はデータという区別がはっきりし始めている。

「あ、なんだ部屋に居たんだ?」

 基地を半周も歩いた挙げ句、出発地点に近い彼女の部屋にボウイはたどり着いた。

「どうしたの、ボウイさん」

「薬品関係の資料がメイの所にぜんぶ移ったって言うからさ。見せてもらうよ?」

「ええ、どうぞ。あたしのカード持っていく?資料室に予備が置いたままだけど」

 メイはベットに広げた料理の本を重ねながら言った。

「いや、あっちにあるならそれ使うよ」

「何かお仕事?」

「ああ、ひょっとして薬物マニアのアブナイ奴と絡むかもってさ。なんせ俺ちゃんだけ予備知識ってのが無いからね」

「ピックアップしましょうか?」

「どのファイル開けたって俺ちゃんには勉強だからさ。たまには時間かけてみるさ。じゃ、メイのファイル開かせてもらうねー」




 尤もらしい事を言ってメイの手助けを断ったボウイだったが、資料室に入るや否や、脱線している。
 膨大になりすぎたアイザックのデータが、メイの方へ移動している様が見てとれるのがまず笑えた。
 自分たちがここへ来る前の基地のメンテナンスの様子や、アイザックが興味を持ったのであろう学者の、古い講演の映像。
 そしてどんなにとるに足りないデータだとしても、どうやらメイは処分しきれずに溜め込んでしまっているのも口許をほころばせた。
 基地のデータは最も古いもので、6年前のゲートの修繕。その頃、自分はどこで何をしていただろうか。
 短くも長くもある基地の歴史に思いを飛ばしながら、一方で、些細とは言えこれだけのデータをメイが管理している事を改めて思う。
 アイザックがメイを頼り始めている。
 これまで何度か、仕事の中でメイやシンにも重要な部分を任せる場面があるにはあった。それはあくまでもアイザックのポーズであるとボウイはとらえている。頼りにしている、と言うメッセージであり、自信と自立を促すための配慮だと。
 けれどとうとう、あるいはやっと、本来の意味で頼り出している。
 ボウイにはそう思えたし、この先もっと、その割合は増していく予感も覚えた。たくさんの子供と、それを支える人物をずっと見てきたボウイの実感だ。
 自分自身は、シスターを支えられる年齢になるのを待たずに、何人かの年上の仲間を差し置いて中途半端に院を飛び出しているだけに、アイザックと双子の自然な変化が妙に嬉しい。

 更に手当たり次第に、ファイルを確認している時、、目に飛び込んできた画像にボウイは釘付けになった。

「こ、こりゃあ、、、!」



 

 
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