J9 基地のゲート1

□渡る?
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 メイやシンを交えてのボードゲームにもマンネリが見えはじめた。

「そろそろコッチはいかが?」
 
 手品のように、いつのまにかお町の手にはトランプが現れている。

「どっから出てくるんだよ?投げたらグサって刺さるヤツじゃないだろうな」

 嫌な顔をしながらキッドがカードを受け取って、しかし切り始めるのは既に習性か。

「ダンナも混ざんない?最近ご一緒しないじゃん」

 一人離れて本など開いていたアイザックにボウイが声をかけるが。

「いや、遠慮しておく」

 即答で断られた。あまりの即答ぶりにお町が口を尖らせる。

「つまんない男ねー。自分の勝ちがわかりきってて嫌なんでしょう?」

 半ば冗談のつもりお町は言ったのだったが、アイザックは横を向いたまま口元だけでフッと笑った。

「おいおいマジだよ、あのダンナ」

「信じらんない」

「もしかしてって事もあるじゃんか?なあキッドさん。俺ちゃんあの態度はいただけないと思うぜ〜」

 ボウイに限ってもしかしても何もありえないとキッドは思ったが、盛り上がりかけているVS アイザックな雰囲気に水を差す気はなかった。

「だったら、3対1ならどうだ?少しはやる気になるんじゃねえの?」

 素直に興味を示してアイザックが顔を上げた。

 ヒュウっとウルフホイッスルを上げるボウイ。乗せたキッドにか、乗ったアイザックにか。

「いーじゃんいーじゃん!たまにはそういう趣向もさ」

 パタリと本を閉じて立ち上がるアイザック。

「ならば、、、」

 戦闘体勢そのままの氷の表情で。

「3人揃って、、、」

 キラリ研ぎ澄まされた刃に、ゆらりマントを翻して。

「カミソリの刃を渡るスリルを、、味わってみるかね?」

(自信あるのね、、、)
(自信あるんだ、、、)
(やっべ〜、、、)

 見交わしもせず立ち上がる3人。

「さ、さーて、冗談はこれくらいでー、、」

「やーん、アイザックカッコいい」

「じゃ!お開きで」

 つまり、要するに、情けないくらい暇なんである。
 アイザックも含めて。





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