J9 基地のゲート1

□ぐり〜ん ぐり〜ん らびりんす
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「二人して青い顔して座ってるだけなんてしんじらんない!」

「コッチがどれだけ体力使ったか!」

 散々言われている。経験値優先コンビは、単純ななぞなぞに引っ掛かり、早々に宇宙へ放り出されてしまったのだった。
 土星近辺だったのが幸いして、氷の欠片を伝い、隠してあったブライサンダーに辿り着いた。とって返す途中、逃走するターゲットの乗った宇宙艇に遭遇。彼が持ち出したダンジョンの図面や、ゲームを強制オフにする装置ごと、撃ち落としてしまった。
 頭脳が側に居ない彼等は、ポリスを誘い出し、人海戦術でダンジョンを総ざらい。依頼人のドラ息子だけはポリスの目を掠めて確保したが、アイザックとボウイが内部に居ない事がわかり改めての大捜索。
 とんがり気味の二人を避けて早々とメインリビングを後にしたボウイだったが、部屋に戻れば袋のネズミ状態でキッド辺りが追い討ちに来そうであった。アイザックの部屋へ避難でもしようかと来てみれば、メイが沈んだ顔で出てきた所だ。

「ドシタ?メイちゃん?」

「あ、うん、アイザックさん、、気分悪いらしくて、、。ボウイさんは、、元気そうね?」

 同じ目に遭ったのに、と不思議そうである。

「なあ、メイちゃんてばもしかして、ダンナがピーマン嫌いなワケって知ってた?」

「え?知らないわ。なあに?どうして急に、ピーマン、、って、、」

「知らないか。そっかー、知らなかったかー。、、、、、知りたい?」

「、、、知りたい。やだ、なぁに?教えてボウイさん、、ね!」

 したり顔のボウイに連れられて、メイはラウンジのストールにちょんとおさまった。
 キョロキョロと周囲を見回してから、ボウイは小声で話し始めた。別段アイザックは口止めなどしなかったが、ボウイは別の理由でこそこそする必要があった。

「ええーっ酷い!それじゃ好き嫌いじゃなくて、トラウマだったんじゃないっ」

 たまには食べて下さいね、、なんて、、言った事もあるメイは大変な嘆きようだ。

「ボウイさんっありがと。これからは絶対アイザックさんにピーマン出さないからっ。ううん、ピーマン見せたりもしないよう気を付けるわっ。緑のカーテンもダメなのね」

 今までを悔い改め、決意を新たにする真顔のメイを見て、ボウイはもう待ちきれずにニヤニヤしだす。

「も〜し、メイちゃんに感謝の気持ちがあるならば〜、、。ちょこーっとでいいのだけどナ、情報料とかもらえちゃうと俺ちゃん嬉しいなぁー」

 撃退する事もできたはずだが、事がアイザック絡みなので、つい判断を誤ったメイは、ほんのお小遣い程度とは言えボウイに支払いをしてしまったのだった。
 今回の報酬も入った今、はした金と言えばそうなのだが、普段厳しいメイから出てきたとあれば、ちょっと気分がいいというものだ。浮かれ顔で「メイちゃんてばほーんとアイザックが好きなんだからー」なんて小銭に向かって喋りながら廊下を行くと、、、、腕を組んで仁王立ちのお町が待ち構えていた。

「わかってるわね?ボウイちゃん」

 ねめつけて手のひらを差し出すお町。

「ピーマンをネタにメイを強請ったなんて、、当のアイザックが知ったらどうなるかしら?」

 ふふん、と笑顔でもう一方の手のひらも重ねて差し出すお町に、ボウイは対抗する術もなく支払いをした。

「よろしい。と・こ・ろ・で、子供を相手にアナタがそぉんな真似をしたって知ったら、、キッドちゃん怒るわよねえ、、愛想尽かしちゃうかも」

「な、なにーっ?!おい、お町ーっ」

「ああらボウイちゃん、ホントの強請って、こおやってやるもんよ。お勉強した?じゃ、授業料もらおっか」

 そうしてお町の攻撃は熾烈を極め、アイザックがオールグリーンの夢から覚める頃まで延々と続いたのだった。






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