J9 基地のゲート1

□Understand?
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 けれど、J9 基地で暇をもて余していたキッドに、まず先に話を通したのはメイの方だった。
 彼女としては、これで二人に喧嘩をさせるわけにいかないし、ましてこれが原因で何か起こったら、半人前でなく、ボウイと同等の責任を負うつもりでいるのだ。
 事の次第を遜色なく説明し、素直な言葉で強力を乞うメイ。帰還する頃には、アイザック譲りの繊細な指示によって、基地はさながら第一線防衛配備のごとくであった。
 発着カタパルトの中央でブライサンダーを止める。格納庫へ続く内部ゲートはメイの指示で今は降りていて、停車を確認すると外部ゲートも閉じられた。カタパルトはその部分のみで完全に閉鎖された。
 基地を貫く巨大な円柱の、その壁の一部がそのまま内部ゲートである。カタパルト内のエアコンディションがグリーンになるのを車内から確認し、まずメイが一人で、内部ゲートに組み込まれた手動ドアから円柱の中へ。
 円柱内の小部屋でメカニックがらみの不審物チェックをしたあと、持ち込んだのが生物とあって、薬品を使ったバイオ系のチェックを念入りに。
 メイがオールクリアで、小部屋から格納庫側へ入ったのを確認して、ボウイがベムを抱いて小部屋へ。
 問題はやはり起きた。
 センタールームでメイに乞われるまま、ゲート操作からチェックの内容まで、基地の全てを管理していたキッドの眉がぴくりとつり上がる。

「おい。てめえの抱いてるのは、ロボットかなんかなのか?」

 人っ子一人居ない基地で、のうのうとしていた所をポヨンに散々まとわりつかれた上に、更なるベムである。メイのお願いします攻撃にはコロリとやられてしまったが、後ろでこっそり隠れている奴が許せない。どうせそんな変なモンを拾って来るのは奴なのだ。

「まさか。そんなはずは、、」

「だったら何で金属反応なんか、、!いや、確認が先だ。別々にチェックするから、そいつをカタパルトに出しとけ」

「えっ、こいつと子猫ちゃん二人きりにすんの?」

「そいつが危険物かもって予測は持ってるわけだ?にも関わらず連れ込んだだと?ココに?家主の留守に?俺に連帯責任ふりかけるなんざ、いい度胸じゃねえか」

 後ろめたさのど真ん中にぐっさり深々。図星を突かれたボウイは、モニターから隠れるように首をすっこめて、そそくさとチビベムをカタパルトへ押し出し、黙々と自身のチェックを進める。オールクリアの標示が、不機嫌丸出しのキッドのアップに切り替わる。

「ごめん!頼む!協力お願いいたしますっ!」

 気づかないほど小さく安堵の溜め息をついたキッドに向かって、平身低頭してはみるが、機嫌が直ろうと直るまいと協力はしてもらわねばならぬ。

「犬も歩けば、だな。おい、犬!」

「お、俺ちゃん?」

「さっさとしろ、判断材料作るぞ」

 チビベムと入れ替わったボウイが、ブライサンダーを内ゲートから格納庫へ移動させている間に、キッドはベムのチェックの結果を見て顔色を変えていた。
 最悪と言うより、サイテー!である。

「なんなんだよコレ!!何考えてこんな、、!」

 格納庫側の連絡パネルを通じて、ボウイの目にも一人で声に出してわめいているキッドの姿が入ってきた。

「おう、犬!サイッテーだぞ。腹ん中に、、爆弾のみこんでやがる」

 実際には飲み込めるような大きさではない。恐らく、開腹手術などして、、、、埋め込まれた。

「な、、、なんでそんなことっ!何になるっての!」

「、、あ、そうか、立派に役立ってるじゃねえか!ここで爆発したらコズモレンジャーJ9 は壊滅だぜ。そういや大昔にあったよなイルカ魚雷とか。って!そんな事は後回しだ!先に言うけどな、ソイツを助けようなんざこれッぽちも考えるんじゃねえぞ!」



 
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