J9 基地のゲート1
□ズルいふタリ
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PM 11:57、、、、今日は仕事がなかったので、眠る前にほんの少しのつもりで射撃室に足を向けた。基地の外周をぐるりと一巡しているメインロードを行くと、向こうからボウイ。
「今夜は戻らないんじゃなかったのかよ?アイスクリーム屋だかの娘に誘われたって、、あ?フラれた、、?」
どうやら図星らしい。わかりやす過ぎてからかう気にもなりゃしない。
「やっぱ、俺がなんかしたのかな、、、。さっぱり訳わかんなくてさ」
予定変更。ボウイの足に合わせてUターン。
「心当たりもネエのかよ。あっきれた奴。ちょっと繊細さを欠いてんじゃねえの?」
我ながら矛盾した口出し。ボウイの本命はこの俺だっつーの。
当のボウイは全くその矛盾に准じて、俺がU ターンして隣を歩いてるのがさも当たり前、みたいなデリカシーの無さで話を続ける。
「でも、やっぱり心当たりねえよ。『ここよく使うから』ってホテルに誘ったの彼女だぜ?で、、『かわいー感じの部屋だね』って、、振り向いたら泣いてんだよ。それまでふつ〜に喋ってたのにさ。俺、何か悪いことしたように思える?」
そこまで行って女の子に泣かれたって?内心笑い飛ばしてやりたい気分だけど、フラれた事より、自分が泣かせたらしい事の方を気にしているボウイの前では、つい意地悪も影を潜める。
「そりゃお気の毒樣。お町さんにご教示でも受けたら?」
たまたまお町の部屋の前を通りかかったから言っただけ。ボウイもまともには受け合わず、肩をすくめたのみ。
「、、でもっ、俺にその疑問を向けるのもここまでにしときなよ。答えもアドバイスも出てきやしないぜ」
俺が部屋までついて入るのも、これまた当然のように、ボウイはさっさと部屋に収まるので、、、、ドアの内側で腕を組み、ボウイが上着を脱ぐのを眺めながらそう言った。
「解ってるよー。ふう、なんで泣いたかなー、、、」
生返事と独り言。脱いだ上着をソファーにフワッと放り出し、帽子もその上に飛ばす。
解って、、ない。
「だーかーらー」
「あ、ごめ、気にしないで、、って、あれ?何か、、俺ちゃんに用事だった?」
普段からは考えられないニブさ。仕方ない、無理やりこっちのタイミングに合わさせてやろう。
「廊下でお前の顔見たら用事が出来たんだ」
ベットの上であぐらをかいて、まだぽかんとぬけたツラで俺を見ているボウイを、指先で額を押して、ダルマさんよろしく転がしてやった。
調子を合わせて素直に転がるボウイが好き。手をついて、途中で体を止めたりしないやつ。
転がった体に添わせて膝を乗り上げる。しち面倒くせえ、さっさとその気になっちまえよ。と、性急な気分も露骨にキス。
最初のひと息、ボウイの受け身。そしてすぐ応答。
キスひとつはおろか、少しでもセクシャルな意味を持つなら、指一本動かす事さえおざなりにはしないボウイ。真面目と言うべきかマメと言うべきか、それとも単なるやりたい盛り、、。お陰さまで、俺はいつでも熱い優越感。裏返しの安心感。
「まだ気になる?、、女の涙って、、強烈だけどさ」
なんて言いながら、ボウイの膝を割って体重を段々に預けていく。体を重ねてしまったら、この手はどこへいこう、、どこでもいい、ボウイなら。
「気になんて、、してる余裕、、ない」
正直な体に、素直なボウイ。
優越感は意地悪に変わり、重ねかけた体をもう一度離す。
両腕はまた自分の体重を支える羽目になり、触れているのは膝先だけ。
粗雑にラフにアバウトに、膝を擦り付けて刺激する。不誠実っぽい、こんなやり方が、ボウイとならいい気分。
ボウイは腕を回して来て仕切りと引き寄せようとしてるけど、突っぱねて応じない。体を入れ替えようともがくのも聞いてらやない。
さすがのボウイも赤面。ちょこっとづつ反っていく顎を一生懸命引いて、顔の横についている俺の手首に額を押し付ける。
なんだよ。顔、、隠すなよ。
「そのまま、忘れちまえば?お互いアソビなわけだろ」
口をついて出るのは悪魔のササヤキ?慰めるなんてちゃんちゃらオカシイ。妬いてるだなんて言語道断。顔みたらヤリタクナッタ。そんだけのこと。
「解りきったことを、、。それとも、それでもイヤ?まあ、、、ね、下手な遊び、しようとすっから、、、一々馬鹿なことになるん、だよナ。なあ、この際、、カラダごと、全部、、お前一人に、、」
「馬鹿言ってろ。全面的になんてめんどーみきれねーよ」
女を抱かない男なんて、あんまり好きじゃない。
「言うと思った。んなら、たまには可愛い娘しょーかい、してよね。いっそ、、、景気づけにお金なんか出し合って3P でも挑戦してみる?」
悪魔のささやきに、まともにノってくる、、、、おれのおとこ。
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