黒ばす

□飼い犬
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グロちうい!
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牢にしては少し広い部屋に、ベッドとテーブル、トイレしかないがらんとした部屋。
唯一外へと繋がるドアはまるで、銀行の金庫みたいに頑丈になっている。ここに1ヶ月以上は確実にいて窓なんて1つもないのにどうして自分は酸素をまだ吸っていられるのかが不思議でたまらない。どこかに空気孔でもあるのか、などともうまったく太陽の光ではなく、人工的な光しか浴びていないこの頭は狂ってしまったのか、危機感なくどうでもいい事を考えていた。
前までは、この部屋隅々まで調べる事が出来たのだが、自分を誘拐、監禁した男に散々抵抗した結果、まるで犬のように首輪を付けられた(しかも鎖付き)。鎖の長さが今寝転んでいるベッドにつながれており、かなり行動に制限された。しかも、トイレまで鎖が長くないので、男に手伝って貰わなければ出来ないというのが、屈辱的だ。
こんなの、まるで飼い主の帰りを大人しく待つ犬のようだ。監禁される前は、帝王などと恐れられていたのだが、こんな姿をチームメイトが、中学時代の仲間が見ればどう思うだろうか。笑うだろうか、驚くだろうか、それとも、蔑むだろうか。
とりあえず、前者と後者のやつはオヤコロだな。
と、まったく危機感のない事を壊れた頭で考えていると、厳重な扉がゆっくりと開いた。
「ただいま、赤司君」
扉からひょこり、と色素の薄い水色の髪に同じ色をした瞳、意識しなければ消えてしまいそうな存在感。本当は誘拐されていなければ、対戦していたはずの高校の制服。
そして中学の元、チームメイト。黒子テツヤに誘拐、監禁された。
「赤司君赤司君。今日はいい事をしてあげます。」
にこにこと、中学の時にはみれなかった笑顔を僕にむけながら、こちらへ歩みよる。
僕は未だベッドに寝転んだままだったが、向こうも何も言わないので、このままでいた。
「中学のときは、キセキのリーダー的存在でしたし、主将だったので、赤司君は色々な方に頼られてきましたよね」
ギシリ、と僕が寝転がっているベッドに腰掛け、僕の頭をまるで親が子を褒めるときのような優しい手つきで撫でる。
…それが、どうしたと言うのだ。
主将なのだから頼れて当たり前だし、キセキの中で僕をリーダーみたいに頼っていたのはお前達だろう。
「赤司君は頼られてばかりで、誰かに頼った事が無いと思いまして」
まあ、別に誰かに頼らなくても、自分で出来るから。むしろ頼ってしまって自分が想像していた、もしくは自分にとっては“当たり前”の結果がでなかったら、嫌だから頼らない。
「僕のものになっても赤司君はまた、恥ずかしいのか抵抗するじゃないですか」
あああたりまえだろおおおお!誰が排泄行為を喜んで手伝ってもらう奴がいるんだ!そんな奴はただの阿呆だ、馬鹿だ。俺はいたって正常だおかしいのはお前だ黒子!!
というかいつ俺がお前のものになったんだああああああ!!!!
「それでですね…僕なりに精一杯考えて、赤司君がもう、僕に頼るしかない体にしてあげようかと!」
黒子がいままでに見た事がない程の(僕が見た事ないだけだろうが)笑顔をした。
そして、先程テツヤの言葉に頭に血が昇り、赤くなっていた顔がみるみる青ざめていくのが、ザァァと血が降りていくのがわかる。
さっきあったあれは。うそ、まさか。
「はい、赤司君の思ってる通りです!これで赤司君の腕を、足を、切るんですよ!」
なんだこいつエスパーか?テツヤの両手には研がれ、切れ味のよさそうな鋸が2本。う、嘘だろう。
「嘘じゃありませんよ!…あ、でも、だるまにしたら流石に可哀想ですので、腕と足、1本ずつ残しますね」
にこり、と涼太や桃井がみたら可愛い!と叫ぶであろう笑顔から、狂気が滲み出ている。いやだ、まだ、死にたくない。
テツヤは、逃げ出そうと暴れる僕をいとも簡単にベッドへ押しつけた。
動かず、ほぼ寝てばかりの僕の体は知らないうちに僕より5cm低いテツヤでさえ倒せれるほど力が衰えていたようだ。
「本当は麻酔使わないと、あまりの激痛にショック死するらしいんですが、赤司君でしたらこれぐらいの痛みは、がまんできますよね」
鋸を持ちながら、にこりと笑う。
「は、はあ!?無理にきまっ「じゃー行きますよ」僕の話を聞けえええ」
プツリ、と鋭利な鋸が足の皮を破る。
「おい…本当に、するの、か?」
「ふふ、本当にしますよ。なんたってうちのカントクの座右の銘は有言実行ですからね!」
いや、そんなドヤ顔で言われても有言実行のしていい事と悪い事があるって言うかまずそれお前の座右の銘じゃねぇじゃん!!!!
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