花になれっ!
□花が笑む頃
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「………こいつ、」
テレビに映るのは。
今まで、見たこともないような透明感を持った、愛しさを持った、そんな女で。
美人、で済ませてしまうのは違う気がした、それ以上の何かが、彼女にはあって。
(フローラ、)
どこか、伝説の花人、フローラに似ているような気もした。
そんなに簡単に済ませられる感情ではないけれど、今はそれが1番近くて。
(フローラ以上かもしれない、な、)
未だかつて、こんなに心惹かれたことはなかった。
あの像を見た時でさえ、こんなに喉の渇きを訴えるような衝動にはかられなかったのに。
(なぜ、)
なぜ、こんなにも惹かれるのか。
なぜ、こんなにも求めたくなるのか。
「……おい、誰かいるか」
「はい」
「この女を捜せ、出来るだけ早く」
「かしこまりました」
こんなにも、何かを欲したのは初めてだ。
こんなにも、手に入れたいという衝動に突き動かされたのは初めてだ。
この女は。
こんなにも、根深く鮮明に、この胸に息づいて。
花が笑む頃