花になれっ!

□花が笑む頃
1ページ/2ページ










「………こいつ、」









テレビに映るのは。
今まで、見たこともないような透明感を持った、愛しさを持った、そんな女で。


美人、で済ませてしまうのは違う気がした、それ以上の何かが、彼女にはあって。









(フローラ、)





どこか、伝説の花人、フローラに似ているような気もした。
そんなに簡単に済ませられる感情ではないけれど、今はそれが1番近くて。






(フローラ以上かもしれない、な、)








未だかつて、こんなに心惹かれたことはなかった。
あの像を見た時でさえ、こんなに喉の渇きを訴えるような衝動にはかられなかったのに。







(なぜ、)







なぜ、こんなにも惹かれるのか。
なぜ、こんなにも求めたくなるのか。














「……おい、誰かいるか」


「はい」


「この女を捜せ、出来るだけ早く」


「かしこまりました」













こんなにも、何かを欲したのは初めてだ。
こんなにも、手に入れたいという衝動に突き動かされたのは初めてだ。





この女は。
こんなにも、根深く鮮明に、この胸に息づいて。

























次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ