花になれっ!

□花が笑む頃
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「ここ、かぁ、」








初めて見る、もも達の通う学校。


綺麗な校舎に、拾い敷地。
いかにもお嬢様が通いそうな雰囲気が滲み出ていた。








「二人とも、…どこかな、」







というか、部外者が入ってもいいのだろうか。


とりあえず先生を見つけよう、なんて考えながら、門をくぐった。
































「………、た、」


「………、?」








ふと、人の声が聞こえて。
職員室の場所を聞こうと、歩いて行く。
これだけ広いと知らない人は本当に大変だろう、少しわくわくしながら、足を進めた。








「本当に困ったなぁ、…生徒は授業中だし、…」


「………ロケ、?」







人の声がしたのは、どうやら学校関係者ではないようで。




(むだ足だった、かぁ、)






職員室はどこだろう。
早くしないといろいろ問題が起きそうだ。












「ねぇ、君、授業は?」


「………、?」






ロケ現場を抜けて、再び歩いていれば。
綺麗な顔立ちの子に話かけられて。





(ももに、似てる、?)




双子の私なんかより、よっぽどももに似てる気がするのは気のせいだろうか。








「君、カワイイね?名前は?」


「…………名無しさん、です、」








綺麗で、可愛いのはそっちじゃないか。
なんだか惨めに感じるのはきっと気のせいではない。








「僕は花音。名無しさんちゃん、ちょっと協力してくれる?」


「え、……」










突如。
ふわりと浮いた、体。








「っ、な、……」








(なんでお姫様だっこ、!)





というか細いのによく持ち上げたものだ、軽々と運んでいるようだったけど内心心配でしょうがない。








「人助けだと思って、ね?」







抱き上げた彼女は。
華奢で、力を入れれば折れてしまいそうで。




(香りが、しない、?)






こんなに、綺麗で。
こんなに、可愛いのに。
不釣り合いだと、思った。


香りが、ない、なんて。








「名無しさんちゃん、花人じゃないの?」


「っ、……」








くん、と、首筋に唇を当てて、確かめるけど。


香りは、しなくて。






(不思議、だ、)





あまりにも、不自然だと思った。


こんなにも、心惹かれるのに。
こんなにも、魅力的なのに。









「ま、いっか。」









香りがあったって、なくたって。


君を、ここで見つけたこと。






これが、俺の全てだから。


















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