花になれっ!
□花が笑む頃
1ページ/2ページ
「………綺麗、」
窓から見た景色は。
まるで、夢のようだった。
青い空と、庭一面の花。
初めて見るはずなのに、どこか懐かしくて。
いろいろな花の香りが、私を包む。
「名無しさんちゃん、ご飯だよ、?」
「あ、おはよう、もも。」
「っ、」
起こしに向かった、二階の隅の部屋。
そこにいるのは、紛れも無く、自身の姉で。
(すごく、綺麗、)
風で靡く髪は、誰をも魅了してしまうほど。
透けるほど白い肌は、まるで生ける彫刻のようにも見えた。
「どうしたの、もも、ぼけっとして。」
「っ、ううん、…」
ふわり、と香る花の匂い。
(気の、せい、?)
その香りは、一瞬で。
どこから香ってきたのかも、わからなかったけど。
無性に泣きたくなるような。
懐かしいような。
私の全てを、物語っているような香りのような気がした。
花が笑む頃