【短編書】
□月夜の下で
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どうしたら、告白出来るのだろう…
周りは全員、彼女を狙っている
どうすれば、彼女を僕だけのものに出来るのだろう…
月夜の下で
「大」
「…!…トーマ…」
夜空を見上げて何かを考えている大を後ろから声をかける。
周りを見渡すが、何の気配もない。
「トーマ。俺、父さんみたいになれるかな…」
空を見上げていた顔を僕の方に向けると、少し安心したように微笑むと、また空を見上げる。
「どうしたんだ?」
「ん…?俺はまたまだ子どもで、何もできないから…父さんみたいになれるかな…って」
空を見上げる大の横で、僕も空を見上げる。
空には星が輝いていたが、横にいる大の方が綺麗に思えた。
「…大らしくないな。君なら、この聖なる都を守れるさ」
「…!…ありがとな、トーマ」
一瞬驚いた顔で僕の方を向く大に、僕は真っ直ぐ大を見つめ返す。
驚いていた顔も次第に緩み、ニッコリと僅かに頬を染めて、微笑む大に、僕は鼓動が早くなるのを感じた。
「俺、この都を守ってみせるよ!」
「僕も、大に協力するよ」
「…ありがとう。トーマ…」
とても可愛い笑みで僕を見つめる大。
二人しかいないこの空間が、大のその微笑みによって僕の理性を壊していく。