【短編書】
□★雨振る日に
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「ったく、最悪だぜっ!」
任務もなく、街中を歩いていた大は、先程まで晴れていた空が曇ってきたと思ったら、いきなり雨に降られ、びしょ濡れになった大は、雨宿りをしていた。
「さっきまで晴れてたのに…」
文句を言いながら空を見上げる。
雨は止む気配はなく、更に勢いが増していく。
「っくしゅっ!あ〜…体が冷えてきた…」
腕をさすりながら大は寒さに耐え、どうしようかと迷っていると、道路の方から、プップー、とクラクションが鳴り、そちらをみると、トーマの車が止まっていた。
「トーマ!」
「まったく君は、一体何をしていたんだ?
…早く入るんだ」
「え…でも、俺濡れて…」
「いいから、早く!」
「あ…あぁ!」
トーマに言われ、急いで車に駆け寄ると、開けられた扉から逃げ込むように車内へと入る。
「あ…ありがとな、トーマ…っくしゅっ!」
「とりあえず僕の家に行こう。ここからだと僕の家の方が近い」
「あぁ…」
トーマが運転手に、急げ、とだけ言うと車はスピードを上げ、トーマの家へと向かった。
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