【短編書】
□F計画
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偶然とは言え、彼はみてしまった
彼の両足の間で、股間に顔を近づけている少女と、顔を赤く染めている愛しい恋人の姿を…
時は数分前に遡る。
「トーマ、お疲れ様。はい、お茶」
「あぁ、そこに置いといてくれ」
パソコンから視線をそらさずに黙々と、データを入力するトーマに、ため息をひとつついて、ヨシノはお茶を置こうとした。
「あ」
ヨシノがそう言うと同時に、お茶の入ったコップはヨシノの手から滑り落ち、トーマの下腹部周辺にお茶が染み渡って行く。
「…っつ!」
「あっ!ごめんなさい!」
トーマが立ち上がろうとするのを止めるように、ヨシノはトーマの足の間に入り、濡れている部分を拭いていく。
「じ…自分で拭くから…」
「直ぐに拭かないとシミになるのよ?!」
なんとも言えない場所にある、ヨシノの顔が、とても恥ずかしく、トーマは顔を真っ赤にさせる。
「…もう、いいかな?」
「もう少し…」
ヨシノの手はさらに下に降りていく。
『大…待ってるかな…』
今日は昼からデートの約束をしていたトーマは、大が来たら直ぐに帰れるようにデータ入力に勤しんでいた。