【短編書】
□ケンカする程
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【ケンカするほど仲が良い】
そんな言葉を聞いたことがある。
「おい、大門大」
「…んだよ、何か用か?」
「何、怒ってんだよ」
「別に、怒ってねぇよ」
コウキから目をそらす。
理由は、いまコイツの顔を見たくねぇから。
「怒ってるだろ?」
「怒ってねぇ」
「だったらこっち向けよっ!」
俺の顔を持って、無理やり自分の方に向けようとするコウキの手を、叩いた。
「俺に触るな!」
「…?なに怒ってんだよ?」
「自分の行動を思い返しやがれ!」
そのままコウキを残して走り去ろうとした。
でも、俺の手をコウキが掴み、逃げることを許さないように、掴んだ腕に力を込めていく。
「いっ…!」
「理由を言えよ」
怒ってる…
顔を見なくても解るぐらい、声が怒っている。