【短編書】
□思うが儘に side:T
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夢に見るのはいつも君のこと
泣いている、ずっと…
「大…何故泣いているんだ?」
肩に手を当て、問いかける
涙で濡れた顔を俺に向ける
「まさ…」
「トーマの馬鹿…っ!」
それだけ言うと、目の前の大は消えてしまう
「大っ?!」
消えた大を探す
名前を呼ぶ
走る
どこに向かっているのかもわからない
なぜか、大に抱く想いは計算出来ない
「大…」
目の前に泣いて腫れた目でこちらを見ている大
「トーマなんか、大っ嫌いだ!」
「っ…!」
「トーマとなんか、別れてやるっ!」
僕には何も言えなくなる
大に嫌いだと言われ、別れを告げられ、思考が停止する
「大…」
手を伸ばし大に触れようとする
それは叶うことなく、宙を舞う
「サヨウナラ」
大の別れが耳の中で木霊する
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