ひかりのおはなし 及川
□●ひかりくるしむ G
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次の日。
またお昼にいなくて。
放課後の下駄箱にもいなくて。
肩を落としながら部室へと向かう。
その途中、校舎の外から女子の話し声。
「いいかげんにしなさいよ。
いつまで及川さんの気にとめて貰ってるわけ?」
俺の名前が聞こえてきた。
「ごめんなさい」
相手の女の子の今にも消え入りそうな声…
!
この声!
小さくても通る声
「はぁ?声が小さいのよ。
てか、謝って済むと思ってんの?
あんたね、アタシたち知ってんの。
20歳のババアだってコト」
え?
「1年病欠で19歳かと思ったら、結果2年病欠してたんだってね。
そこまでなら学校辞めちゃえばいいのに」
どこだ、どこから声がする?
「20が高校生の制服なんて笑えるわ。キモいし。
及川さんに近づくなんて、変態がうつるから。
及川さんは、アタシみたいな高校生が似合いなのよ」
どこからそこに行ける?
俺らしくもなく慌てているのか方向がつかめない。
はやく行ってあげたい。
言ってあげたい。
君は!
遥ちゃんは!
「あんたの言ってること、俺にはよく理解できないな」
俺が行きたいところに知った声。
「はあ?
岩泉じゃん。
今、取り込み中なの。余所行ってもらえる?」
「そいつ、うちのマネージャー。連れて行きたいんだけど」
「マネージャー位居なくたって部活出来るでしょ」
「それが、うちの部員でいないと困るヤツが1名いて。そいつのサーブが決まらなくて、俺が痛い思いする事になるんだよな」
「はあ?しったこっちゃないし。ウチらには関係ないじゃん」
「関係あると思うぜ、そいつは…」
それ以上は自分の言葉で言うよ!
「遥ちゃん!」
やっと外に出られた。
はぁはぁと肩で息をしながら歩く
「及川さん!ど、どうしてここに?」
「どうしてって、話し声が聞こえたからだよ。
…岩ちゃんありがとう。部活先行ってていいよ」
「ほんと、おまえって面倒なヤツだよな。…これで、サーブ決められなくなったら…覚えておけよ」
「わかりました。もう大丈夫だよ」
肩をすれ違い際にグーで小突かれた。
「遥ちゃん」
「及川…くん」
やっと、近くに行けた。
近くで見る
遥ちゃんの顔は…
青白く苦しそうだ…
「及川さんは、この女のどこがいいんですか?20歳のオバサンなのに」
「歳なんて関係ないよ。俺だって君だって、2年経てば20歳。俺もオジサンになるってコトだね」
「…でも!それだけじゃ…」
遥ちゃんと女の子たちの間に入る。
「病欠してたって知ってるなら、こんなコトするの身体に良くないって思わない?
俺は、人のことを大切に思うコがイイんだ。
俺にとって、それで十分なんだよ。
それが…君たちにはってコトなんじゃないかな」
目に涙を浮かべ…唇を噛みしめ…
立ち去る名前も知らない女のコ。