ひかりのおはなし 及川

□●ひかりくるしむ G
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ドカッ


「いっつ!
…おーいーかーわー!!」

「ごめん!岩ちゃん!」


部活のサーブ練習中
打ったサーブがそれて、岩ちゃんの頭に直撃。

物凄く睨まれたけど、まぁいいか。

気を取り直して。


キュキュ

ドッ


「あ」


二発目の軌道もそれ、岩ちゃんの頭横スレスレを通り過ぎズダンと床に落ちた。


「ごっめーん。岩ちゃん。決して狙った訳じゃないよ〜?」


頭の前に手をあわせて、ゴメンねポーズをとったけど、岩ちゃんの目はすわっていて…


「…及川」

「…はい」


ビシッと壁を指さし


「壁相手にやってろ」

「ええー。つまんなーい」

「おまえが集中してないと危険きわまりない。
さがってろ」


有無を言わせぬ勢い。

ぶーぶー口をとがらせながらコートを離れる。

確かに珍しく集中できてないのは否定できない。


4月に出会ってからおよそ1ヶ月。
こんなにも、居ないことが自分にはツラくて

サーブを打つとき、向こう側のコートがはっきり見えるのに、
光が無いかのように暗く見づらい。

自分でタオルをとり、自分でドリンクを取り出し腰掛ける。

…前まではごく自然なことだったけど、数回遥ちゃんに用意して貰ってから、その方が何倍も疲れがとれたんだよな。

はあ。


「おまえがため息つくなんて、雹でもふるんじゃないか?」

「ひどいなぁ、岩ちゃんは。俺だって悩み事くらいあるよ」

「へぇ。天変地異がおきるかもな」

「ほんと、ひどいよねー。
…遥ちゃん、元気かな?」

「…どうだろうな。病み上がりを無理させちまったのかな」

「そうかな…。心配なんだよね」

「珍しいよな。おまえがひとりの女子に固執するの」

「そう?そうかな。
あぁでも…そうかもね」


その後は、集中してないとまた怪我してもあぶないから、ストレッチをして帰ることにした。
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