ひかりのおはなし 及川
□●ひかりにあつまる E
2ページ/5ページ
[岩泉視点]
****************
「岩ちゃん!俺さ、これから病院行ってから部活行くから」
「ああ。しっかり診てもらってこいよ」
部活行く前に及川が声をかけてきた。
「それでね。不本意だけど、岩ちゃんにお願いしたいことがあるんだ」
「不本意なら、しなきゃいい」
あーっもう!わからないかなぁ!!
といった感じで腕をぶんぶん振る及川。
「俺はね、遥ちゃん!遥ちゃんが心配なの。
あの気にくわない烏野に、あの麗しき遥ちゃんを見せるだなんて!
絶対あいつら変な目で見るに決まってるんだ。
くぅー。いやだ、いやだーっ」
「ウザ…お前もだろ」
「俺?俺はいいの。遥ちゃんは、俺のだし」
「…いつそんな事になったんだよ。お前こそ戸隠さんにとって危険分子だ」
「何か言った?」
ケロッとした当たり前だろっていうような、その顔でこっち見んな。うざい。
「いーや。…分かった。んで、何となく頼み見えてきたけど、一応聞いてやる」
「そうそう。そうなんだよ。
本当なら俺が遥ちゃんとボディガード役なんだけど、行けないから、岩ちゃんに頼みたいわけです」
「わかった。戸隠さんを見てればいいんだな」
「体調も心配なんだ」
「わかったから。おまえが来るまで無理させないようにするから。早く病院行け」
「絶対だからね!変な虫付けないようにね!」
おまえが一番の変な虫。
****************
と言われたけど、もう目線が光に向かって群がってる。
烏野ベンチに烏野の女子マネ(清水さんっていったか)と戸隠さんが並んで座っている。
烏野メンバーは、アップをとりつつもその光景をチラチラみている。
そのチラチラの視線を感じたのか、戸隠さんはノートに落としていた目線をあげて、ハッとした顔になった。
オレンジ色と目があったのか、ワタワタ慌て、何抜け駆けして目を合わしてんだ!と坊主にはたかれた。
戸隠さんは清水さんに耳打ちして、清水さんはコクンと頷き、先生に話し烏野チームを集合させた。
少しおどおどした感じ。
背の高い男に囲まれたらそうなるもんか。
「青葉城西のマネージャーをしています。戸隠遥と申します。
本日は、練習試合にお越しいただきありがとうございます。
今年からマネージャーをはじめまして、至らぬ点があるかと思いますが、よろしくお願いいたします」
「しぁっす!」
「…っ。えと。清水さんにマネージャーの基礎などを伺うために、コチラ側のベンチからも観させていただきます。よろしくお願いいたします」
「どーぞごゆっくりしていってください!」
「はい。ありがとうございます」
挨拶して安心したのか
ふわっとした儚げなあの笑顔。
「うぉーーーーーっ!」
何人かぶち抜かれたようだ。
あー。戸隠さんの為に、向こうに案内したけど、まずったかも。
仕方ない。これ以上を抑えればいいことだ。
試合前、戸隠に声をかけに行く。
「調子はどうだ?」
「問題ないですよ。意識して居なきゃいけないので、少し疲れますけど。」
「? 無理するなよ。
清水さん、戸隠をよろしくお願いします」
頭を下げる。
「はい。わかりました」
と清水さん。
さて。試合開始だ。
烏野がガンとばしてきたので、
しっかりお返ししておいた。
戸隠さんに手を出すんじゃないぞと言う意味も込めて。