ひかりのおはなし 及川

□●ひかりみつけた @
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あれから1週間が経った。

あの日以来あの人影は見ていない。

その代わり新しい噂が流れてきた。


“1年休学して復帰した”


のだそうだ。
とすると1歳年上になるということか。
まぁ、歳なんて関係ないけど。

今日も1日の授業が終わり、いつも通り部活へと向かう。

体育館に入ると、女の子たちの声。
体育館全体を見回す。もちろん女の子たちに手を振るのを忘れない。

いつも通り。



サーブ練習。
ジャンプサーブの練習。
ボールを高くあげて…

キュ キュッ 

ズダン!

思い通りの場所に決まる。
「ナイッサー」
部員の声。
「ナイッサー!」
少しズレて女の子たちの声。

いつも通り。



「もう一本いくよー」


もう一度サーブを決める。

狙ったところにドンピシャ。
今日は調子がいい。


「ナイッサー!」
女の子たちの声。

いつもど…

いつも通り
     じゃない!
視界には、またあのコがいた。
気づいたときには、もう体育館の外へと出て行くところで

反射的に体育館出口へと走っていた。

体育館から外へ出たけど、もう人影は無かった。

落胆し、肩を落としていると

バシン!

頭に強い衝撃


「いったぁ!なにするの!?」

「なにするの?じゃねーだろ。お前こそ何してんだよ。いきなり出て行きやがって。
皆ビックリしてるぞ?」

「だって、またあのコがいたんだもん!」


バチン!


「イダッ!やめてよぉ。頭バカになっちゃう…」

「だから、誰もいないっての。
それにおまえはそれ以上バカにならないから安心しろ」

「いたもん。いたんだもん。…バカじゃないもん」

「もんもん言うなキモ川。さっさとバレー再開するぞ」

「はぁーい」


岩ちゃんに首根っこをつかまれて、しぶしぶコートに戻る。


あのコが歩いていった方向を振り返りながら…。
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