ひかりのおはなし 及川

□●めひらくひかり H
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やさしいひかりにつつまれている…
とてもおだやかなきもち…

ゆびのさきから…むねのおくまであたたかい…

このひかり…とてもおちつく…

あんしんする…




****************




…目が覚めると、白い天井。

ピッ…ピッ…

少し前までの私なら聞き慣れた音…。


ここは、病室だ…。

2年もいたから慣れた状況で、別段驚きもしない。

でも、慣れた状況でも、いつもと違うことが…


左手に温もり…

目線だけそちらにうつすと、
窓が少し開いて風かそよいであたたかな茶色の髪が揺れている。

うつ伏せになった、その人の顔が少し見える。

その顔はあまり穏やかには見えない。

私の右手は、その人の手の中にあった。

コードにつながれた右手を伸ばし、そのあたたかな色の髪撫でる。
ワックスでまとまっている髪。ワックスつけなければ、きっと柔らかでふわふわしてそうな髪。


「及川…くん」


撫でただけでは反応がなかったけど、呼んだら、パチッと目が覚めガバリと身体を起こした。


「ふぁ…?

遥…ちゃん?
遥ちゃん!?

…遥…ちゃん…」


一つ目の私の名前を口にした時は目覚めてぼぉっとした顔

二つ目は、目覚めた私を見て驚いたような顔

三つ目は、私が微笑むと
目が潤み、くしゃっと崩れた顔


「起きた…よかった…。あ、看護師さん呼ばなきゃ」


枕元にあるナースコールを鳴らす。


「ここ…病院ですよね」

「うん。そうだよ。遥ちゃん、倒れて意識がなくって救急車を呼んだんだ。
あ…ごめん。バッグの中から生徒手帳勝手に出しちゃったんだよね。
救急隊の人に歳とか聞かれたから…。
そしたら、ここの病院の診察券も出てきたんだ。

ごめんね」

「いいえ。大丈夫ですよ。助かりました。
むしろ…ごめんなさい。
私…」


コンコン

女性の看護師さんが入ってきた。


「失礼します。ああ良かった。目が覚めたんですね。

戸隠さん、驚きましたよ。救急車で来るなんて」

「香川さん。すみません。また少しお世話になります」


看護師さんの名前は香川さんっていうんだ。


「さて。えっと、及川くんでしたっけ?外でてもらえます?」

「俺居ちゃだめですか?」

「女の子の着替えはダメでしょ。30分後位ならいいですよ」



「す、すみません」


パッと病室のドアまで移り


「また後でくるね。遥ちゃん」


そう言って病室から出た。

ドアを閉め

ふぅ…

一つため息


「岩ちゃんと監督に連絡してこよう…。
ほんとに良かった…」
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