ひかりのおはなし 及川

□●ひかりあやうし? F
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GW合宿。

1年2年の合宿の時は、バレー以外の楽しみはなかったんだ。

バレー中はいいんだよ。うん。

でもでも、合宿ってお泊まりがあるじゃない?
男ばかりのむさ苦しい中で数日だけとは言え…ねぇ。

でも
でも、今年は違う。

何がって?

それは遥ちゃんが居るからに決まってるじゃないか!


「私、泊まるのは無理なんです…」

「うわぁ…」


目を輝かせながら、遥ちゃんに、合宿の話をふったら、撃沈返答されました。
早くも夢が崩れた音が…。


「あの、ごめんなさい。もうだいぶ身体は良いんですけど、泊まりはまだ病院からOKでなくて。
泊まりたくないって訳じゃないんですよ?」

「そうだよね。身体の方が優先だよ。何かあったら大変だもんね」

「すみません。
だから、その分マネージャーとして買い出しと、お夕飯作ります」


え?遥ちゃんの手料理食べれるの?
エプロン姿とか、オタマ持った姿とか、いやあ、夢でしょロマンでしょ。


「なので、今から買い出しに行ってきます」


ペコッと頭を下げて、校門に向かって歩いていき、置いてあった台車をガラガラ押す音で、
ハッと夢から覚めた。夢の中よりホンモノの遥ちゃん!


「遥ちゃん!?一人で行く気?」

「だって、皆さん練習あるじゃないですか。買い物くらい一人で出来ますよ」

「だめだめ!女の子一人で行かせらんないよ。ドコのスーパー行くの?」

「近くのはながたマーケットです」


ここから徒歩15分くらいの大きなスーパーマーケットだ。


「わかったから、皆に言ってくるから待ってて!」

「大丈夫ですよ。行ってます」


ガラガラと台車を押していく遥ちゃんが校門から出て行った。

一人で大荷物なんて台車があったってダメだよ!

携帯鞄の中だ。何で今持ってないかなぁ。

体育館にダッシュで向かい岩ちゃんに伝言、またダッシュで校門へと戻った。

外へ出たけど、やっぱり先に行っちゃってた。

はながたマーケットの方へと向かう途中遥ちゃんを発見。

見知らぬ男性から声をかけられている。

俺が遥ちゃんのところにつく前にその人は離れていった。


「遥ちゃん!」

「及川さん。いらっしゃったんですか?大丈夫ですって言ったのに」

「俺がダメなの。
それより、さっき、男の人に声をかけられてたけど、なにかされなかった?」

「そんな。変なことだなんて。道を聞かれただけですよ」


ニコッと何にも問題有りませんという顔。


「遥ちゃん親切そうだもんね。でも、気をつけるんだよ。世の中悪い人もいるからね。知らない人にはついて行っちゃダメですよ!」

「及川さん、保護者みたいな事言いますね。ふふっ変なの。私も一応大人ですから心配ありませんよ」

「その前に学生さんです」

「です…ね。気をつけます」


ほんと。その笑顔が危険。
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