ひかりのおはなし 及川
□●ひかりはおう B
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次の日屋上に戸隠さんの姿はなかった。
『太陽の日差しって眩しい』
彼女の言葉を思い出す。
今日も空は雲ひとつない透き通るような青空。
彼女と同じ様に透き通っていて手を伸ばしても掴めそうにないくらい遠い空。
『私には眩しすぎました』
だからって避けても太陽は必ずあるもの。
眩しくても慣れる時はくる。
生きるには日の光が必要なんだ。
実際はキミの方が眩しい存在だと思うよ。
そう。光は必要。
『前から興味はあった』
その興味はなくさないでいて。
「よし!」
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「及川!ぼけっとしてんな!」
「あ?ごめんなさーい」
午後一番の授業でぼんやりキミのことを考えてたら、先生に注意されちゃった。
うん!決めた!
「おまえさ…だから、それ、ストーカーだよ。訴えられる前にやめろ」
「じゃあ、訴えられたらやめるよ」
「はぁ…」
「だってさぁ、昨日今日とお昼も居ないし。そしたら、水曜日の今日、行くっきゃないでしょ?」
「…部活はどうするんだよ。」
「ちゃんと行くからさ!」
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キーンコーンカーンコーン
一日を終えるチャイムが鳴る。
荷物を全部持ちダッシュ。
「及川!廊下は走らない!」
「はーい」
先生にまた注意されちゃったけど、今日だけはごめんなさい。
他の皆は教室で喋ったり、部活に向かったり。
真っ先に向かったのは、下駄箱。
戸隠のクラスの下駄箱。
下駄箱まわりだけはまだ誰もいなくて静かだった。
1人足音が近づいてきた。
角を曲がると…
待ち望んでいた人が現れた。